なんでもない日常。
 なんでもない日々。
 いつからだろう。そんな今に色が付き始めたのは。

「最近、表情が柔らかくなりましたね」
「え!?そ、そうでございますか?」
「ふふっ。全然違いますよ?」

 からかうように笑って話す彼は、半分嬉しそうな顔をしていた。
 時々、こういうことを言われるとすぐに顔が赤くなってしまう気がする。

 前はこんな表情をしただろうか。

「修一様!からかわないで下さい」
「はは。からかったつもりはないよ。ただ…いや、なんでもありません」
「まだ目が笑っています」
「そういう目つきなんじゃないかな」
「またそんなことを…」

 幼馴染の彼はそれはそれは楽しそうだった。
 傍から見たらそうでもないのかもしれない。
 きっとそれは、自分だからこそわかる距離であり表情。

「そうだった。さっき裕次が君を探していたよ。要くん」

 そう言うと彼はその表情を変えないまま、去って行った。

「全く…」

 溜め息一つ。
 それは、きっと彼からすると「今までとは違う溜め息のつき方」なんだろう。
 私はそんなことを思いながらその場を後にした。


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