その道のりはあっという間だった。
頭の中の整理が出来た私は、すぐにわくわくとドキドキ感に包まれていった。
ガイドブックを見ながら、どこから回ろうか、どこを必ず行こうかと話は盛り上がる一方。
「どのアトラクション、乗る?」
「あ、俺カリブの海賊行きたい!」
「…あ。残念、裕次お兄ちゃん…カリブの海賊休止中みたいだよ」
「えぇ!そうなの!?じ、じゃあ、ビッグサンダーマウンテン!あ、スプラッシュマウンテンは?」
「スプラッシュマウンテン…わ、私頑張るね」
そして、夢と魔法の王国…ディズニーランドに到着。
「わぁ!早く行こう!」
「わっ、ま、待ってよ!裕次お兄ちゃん!」
子どものようにはしゃぐ裕次お兄ちゃんを追いかけながら。私もしっかりはしゃいでいたのだった。
「ねぇねぇ。これつけない?」
「あ!いいねいいね。奏ちゃんはどれにする?」
「どれが良いかなぁ?あ、裕次お兄ちゃん、これは?」
「あははは!リトルグリーンマンの帽子かぁ!」
パークに入ってすぐ。どうせだからと、帽子やカチューシャなどを買うことにした。
色々なものの中から、私はスティッチの耳のヘアクリップを選んだ。
「私、スティッチ好きなんだよね」
「そうなんだ、良いこと知っちゃった。それじゃあ、俺は…これにしようっと」
「えぇ!本当に?」
そう言って裕次お兄ちゃんが手にしたのは、リトルグリーンマンの帽子だった。
笑う私の隣で満足そうな裕次お兄ちゃん。
「本当は、奏ちゃんとミッキーミニーでお揃いって感じも良かったんだけれどね。でも、スティッチの奏ちゃん可愛いし!」
ふわふわと笑う裕次お兄ちゃん。
私も同じことを考えていたのだけれど…さすがになんだか恐縮な気がしちゃって。
…ちょっとおしいことしたかな?
でも、リトルグリーンマンな裕次お兄ちゃんはなんだかレアかも。
「裕次お兄ちゃんもすごく似合ってるよ」
「本当に?あぁ!でも奏ちゃん、顔が笑ってる!」
「だってー!面白いんだもん!」
けらけらと笑う私。その隣で少し赤い顔をしてむくれてる裕次お兄ちゃん。
裕次お兄ちゃんは咳払いを一つすると、すっと私の手を取った。
「え?」
「だって。迷子になっちゃいそうじゃない?」
「そ、そうだけれど…」
「ね?さ、行こう?奏ちゃん」
繋がれた手の熱を感じながら…。
私の心はまたドキドキするのだった。
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