約束の時間まで…あと少し。

「少し…早く来過ぎたかなぁ…」

 今日は3月14日。そう、ホワイトデーだ。
 あのバレンタインデーからもう1か月経っただなんて。

「あっという間だったかも」
「何が?」
「え?…って、わぁ!」

 ぽつりと呟いたその言葉に帰って来た言葉。
 それは、紛れもない…

「ハリスくん!いつからそこにいたの!?」
「今来たばっかり。ていうか、何のこと?」

 私の言葉に怪訝そうな顔をするハリスくん。
 急に現れた彼に、私の心の準備はまだしっかりと出来ていなくて。

 わ、どうしよう…急にドキドキしてきた。
 ていうか…ハリスくん…いつもと雰囲気違う…。

 そこに立っていたのは、少しだけ大人な印象を持った少年。
 赤髪に良く似合った柄のパーカーを羽織っているハリスくんがいた。

「な、なんでもないよ」
「本当に?」
「うん…って、早かったね。ハリスくん」

 時計を見ると、待ち合わせ時間よりもまだ早い時間。

「早かったねって。奏の方が充分早いじゃないか。遅れたかと思ったよ」
「え!?あ、ご、ごめん」
「もしかして。時間間違えたの?」
「そんなこと!ただ、楽しみすぎて早く来ちゃっ…あ」
「ふぅん」

 ついつい出てしまった言葉。
 私の顔はあっという間にゆでだこ状態。
 そんな私を見ているハリスくんは、ちょっといたずらっ子の顔。
 なんだけれど。
 どこか、頬が赤い気がした。

「まぁ、いいよ。早いに越したことはないしね」
「うん」
「じゃあ、時間早いけれど…行こうか」
「うん!」


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