「すごく綺麗だったなぁ…プラネタリウム」
ほぅっと小さく溜め息をついて言う。
辺りには夕闇が近づいてきていた。
「本当に真っ暗だからね、プラネタリウムの空は」
重ねられた掌をきゅっと握り締めながら瞬くんは私に言った。
「この辺りじゃ…あんなに綺麗には見れないかな?」
「六等星までしっかりって言うのは…難しいかもね」
いつもよりもゆっくりとしたペースで歩く帰り道。
その時間がすごく幸せに思えた。
「そっかぁ」
「でも、この間見ていた場所は…結構見えるほうだと思う」
「そうなんだ?」
「うん。きっと…もっと綺麗に見える場所もあるだろうけれど」
その後、瞬くんは冬の星座の話をしてくれた。
オリオン座、牡牛座に双子座。冬の大六角形に、一番明るい星シリウス。
さっきプラネタリウムで知ったことから、星座の神話まで。
本当に瞬くんは色々なことを知っていた。
「やっぱり、瞬くんはすごいね」
「そう、かな?」
「うん。すごい」
「なんか、奏ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいな」
「ふふっ。そうかな。ねぇ、瞬くん?」
「何?」
「今日、夜のお散歩しよ」
私は笑いながら瞬くんに提案をした。
「冬の星空、見たいんだ」
本当は、瞬くんと一緒に本物の夜空を見たいだけ。
「うん。いいよ。見に行こう」
ふわりと笑って瞬くんは頷いてくれる。
「今日、冷えるかなぁ。春先とはいえ、まだ寒いもんね」
「そしたら」
「そうしたら?」
「僕が奏ちゃんを温めてあげるよ」
その言葉と瞬くんの笑顔にドキッとする。
急に大人っぽく見えるようになってきた、私の可愛い彼。
まだまだ…これから?かな。
「ありが、とう」
そう言いながらも、私の顔はきっと真っ赤になっていたに違いない。
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