そして。当日。
 御堂さんのおかげで着ていく服も決めることが出来て…。

「うん、メイクもバッチリだし、これで…多分大丈夫!」

 なんとか慌てることなく支度を終わらすことが出来た。

「それにしても…。さすがだなぁ、御堂さん。女の子の流行の主流までわかっちゃうなんて」

 姿見の前で自分を見ながら呟く。
 ベージュの花柄ワンピースにカーキのミリタリージャケット。3月とは言え、寒さが残るからとストールも巻いて。これで茶色のロングブーツを履けばもう完璧。
 髪型もコテでふわっと軽く巻いて、シルバーのカチューシャを合せてある。
 いつもと違った自分に、なんだか嬉しさと戸惑いと…半分半分の気持ち。

「よ、よし!」

 私はきゅっと気合を入れると、自分の部屋を後にした。

 廊下を出てすぐ。御堂さんに会うと

「裕次様はもうガレージに向かわれましたよ」

 と優しい笑顔で言われた。
 そして、

「とても綺麗ですよ、お嬢様」

 と言われた。
 その言葉に少し顔を赤くしながらも、私は裕次お兄ちゃんの元へと急ぐのだった。

「あ。いた」

 真っ赤なフェラーリが目に飛び込んでくる。そして、その横で嬉しそうな顔をしている裕次お兄ちゃんも。

「あー!奏ちゃん!」

 私の姿に気づいた裕次お兄ちゃんは、ぶんぶんと手を振るとこちらへ走ってきた。

 …わぁ…か、かっこいい…。

 裕次お兄ちゃんは黒で統一した格好。ブラックのジャケットにブラックジーンズ。スニーカーまで黒だった。
 そんな中、首元でふわふわしているのは大判の赤いチェックのストール。
 普段とはまた少し違う裕次お兄ちゃんに、私の心臓はすでに落ち着かない。

「わぁ!かーわいい!」

 そう言うと、ぎゅっと抱き締められた。

「ゆ、裕次お兄ちゃん!?」

 完全に不意打ち。ボーッと裕次お兄ちゃんを見ていたら…されたんだから。
 どうしよう、私…今日大丈夫かな?

「えへへ。さ、今日はもう出掛けよう?混んできちゃう!」
「え?こ、混む?って、そうだ。どこ行くの?」

 くいっと手を引かれ、真っ赤なフェラーリへ。
 戸惑う私に裕次お兄ちゃんは嬉しそうにこう言った。

「ディズニーランド!」

「…えぇ!?」

 驚く私に裕次お兄ちゃんはしてやったりと言った顔だ。

「夢と魔法の王国。奏ちゃん、好きでしょ?」

 車に乗り込むと、はいっとディズニーランドのガイドブックを渡される。
 嬉しそうな裕次お兄ちゃんの横で私はぽかんとしていた。

「じゃあ、しゅっぱーつ!」
「え?あ、はい!」
「あ、そうだ。ねぇ、奏ちゃん?」
「な、何?」
「ストール。お揃いだね」

 …私、今日…大丈夫じゃないかも。


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