「結構歩いたね」
「うん。確か…そろそろこの辺りに…広い芝生公園があったと思ったんだけれどな」
「どこだろう…あ!あそこかな!」
「あ、そうだそうだ。あそこ!」
コジロウを連れてのんびりと歩いて行く道。
その道中は常におしゃべりをしていて。笑いも絶えなかった。
それがわかるのか、コジロウのしっぽも左を向いたり右を向いたり。時々、こちらを見たかと思うとふいっとまた前を向いたり。
コジロウもまた楽しんでるのかな?
「ねぇねぇ!何する?何する?遊ぼうよ、奏ちゃん!」
「裕次お兄ちゃん、とりあえず落ち着いて!」
公園に着くなり、裕次お兄ちゃんはコジロウと一緒に走って行ってしまった。
私は持っている荷物を近くのベンチに置く。ちょうどいい木陰になっていて気持ちが良かった。
良く晴れているとはいえ、まだ3月半ば。少しだけ肌寒い風が吹くけれど、たくさん歩いた私たちにはちょうど良いくらいだった。
それから暫く、裕次お兄ちゃんは持ってきたフリスビーなどでコジロウと遊んだり、走り回ったり。
途中から私も一緒に遊んでいたのだけれど。
「こんなに走り回って、帰り疲れちゃわないかな?」
「大丈夫大丈夫!」
「本当にー?」
裕次お兄ちゃんはケラケラと笑いながらコジロウと遊んでいる。
そんな姿がなんだかとても嬉しかった。
「ねぇ、そろそろお昼にしよっか?」
「賛成!奏ちゃんのお弁当、楽しみだなぁ」
コジロウを抱っこした裕次お兄ちゃんがやってくる。
お弁当は、私が朝早く起きて作った…すごく上手とは言えないものだけれど。
「サンドイッチだー!おいしそう!」
「慌てなくてもたくさんあるよ?」
「だって、早く食べたいんだもん!」
そう言うと、裕次お兄ちゃんは大きな口でサンドイッチを頬張った。
「おいしいー!」
「それなら良かった…って、裕次お兄ちゃん!ちゃんと手、拭いた?」
「あ、忘れてた!」
「もう!ほら、お手拭お手拭!」
← | →