そして、やってきた3月14日。
私はいつもと同じような…ちょっとラフな格好をしていた。
そう、それはいつものデートに出かけるような格好ではなく、どちらかと言えば普段着に近いような。
「おまたせ!」
玄関先。やってきたのはやっぱりちょっとラフな格好をした裕次お兄ちゃん。
そして…
「わん!」
コジロウだった。
「うん。それじゃあ、お出掛けしよっか?」
「うん!じゃあ、しゅっぱーつ!」
そして、私たちは門をくぐる。
そう。これはデートなのだ。
私の出した条件。それは…
+*+*+*+*+*+*+
「条件?」
「そう。このデートなら、良いよってこと」
「本当に!?何?どんなデートなの?」
「コジロウも一緒のデート」
「へ?コジロウも?」
「そう。お散歩デートしよ」
「お散歩デート?」
「いつも裕次お兄ちゃんの運転でどこか出掛けるでしょう?そうじゃなくて、コジロウも一緒に連れてお散歩しながらピクニックみたいなデートしよう?」
「あ、それ…面白そう!」
「どうせだからお弁当持って広い公園とか行こうよ」
「いいね!いいね!賛成!」
+*+*+*+*+*+*+
と、こういうものだったのだ。
裕次お兄ちゃんを休ませてあげたい。
でも、デートをしたいという裕次お兄ちゃんの意見も無視できない。
それなら。
ゆっくりのんびり出来るデートをすれば良いんだ。
それが、私の出した答えだった。
「ねぇ、奏ちゃん」
「うん?どうしたの?」
「手、つなご?」
「え!?」
「折角のお散歩デートだもん。いいでしょ?」
「え、あ、う、うん…」
裕次お兄ちゃんは嬉しそうだった。
そんな裕次お兄ちゃんを見ると私も嬉しくなる。
だけれど、今は顔が真っ赤。
だって、大好きな人と手を繋いでお散歩しているのだから。
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