少しだけ、沈黙の重なる中で響くのは下駄の音。
 繋がれたその手と手の間を熱が行ったり来たりしながら、時々、ぽつりぽつりと会話が生まれる。

 ふわふわした気持ちのまま、着いた場所は最初の旅館。

「さぁ、行こうか?」

 ふわりと笑う裕次お兄ちゃんの髪を小さな風が揺らして行った。

「うん」

 ゆっくりとその暖簾をくぐって。


 さぁ、今日は一体どんな日になるだろう?


 裕次お兄ちゃんのことじゃ、卓球やりたい!とかって言いそうだな。
 あぁ、あと。もう一度「混浴行こうよー!」とかって言ってきそう。

 あとは?
 あとは…

 そこからは、内緒のお話。

 ね?


―Fin―

→あとがき


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