「…で、今に至るわけ、かぁ」
「うん?奏ちゃん?どうかした?」
「え!?あ、ううん!なんでもないよ!それより…裕次お兄ちゃん、それは?」
「え?温泉饅頭だよ!あ、奏ちゃんも食べる?」
「…いつの間に買ってたの?」

 温泉街に着いてからの裕次お兄ちゃんのはしゃぎっぷりはすごい。
 多分、デートもそうなんだろうけれど…自分も行きたくなっていたんじゃないのかな。そのテレビを見て…。

 目的の温泉は日帰り温泉も出来る旅館。とても広くて、混浴なんかもある場所だった。
 もちろん、混浴こそ入らなかったけれど…。だって、いくら水着着用でも恥ずかしかったから。
 裕次お兄ちゃんはずっと入りたい!って言っていたけれどね。
 それで、出てきて浴衣を借りて温泉街をぶらぶらしている…ってわけです。

 はしゃぐ裕次お兄ちゃんを見て、半ば溜め息混じりな私だけれど、でも…やっぱりこういう裕次お兄ちゃんのこと…好きなんだよなぁって思ったり。

 そう思うと、なんだか自然に笑みが零れてくる。

「ねぇ、奏ちゃん」
「うん?何?」
「あっち行ってみようよ!足湯があるんだって」

 温泉饅頭の袋を提げながら、足湯があると書いてある看板を指差す裕次お兄ちゃん。

「うん!行ってみよう!」

 私はそんな裕次お兄ちゃんに笑顔で答えた。


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