「うーん、こっちのスカートかなぁ?ほら、ふわっとしてて可愛いでしょ?」
「え?あ、うん…」
「あー、やっぱりこれかなぁ。色は白と黒でシンプルだけれどデザインがすごい可愛いし!」
「確かにこのワンピース…すごく可愛いね。どこのブランド?」
「えっと、これは…」

 自分の部屋に戻るとすぐに始まったのは洋服選び。
 勿論それは、裕次お兄ちゃんが持ってきたものだ。

「うん、やっぱりこのワンピースにしよう!それで、靴は…」
「ね、ねぇ?裕次お兄ちゃん?」
「うん?どうしたの?」
「どうしたっていうか、その…裕次お兄ちゃんこそどうしたの?」
「へ?俺?」

 頭の上がはてなだらけの私に対して、きっと裕次お兄ちゃんの頭の上にははてなは1つくらいなものだろう。
 そんな顔をしていたから。

「こんなにたくさんの洋服用意して、選んで…その、何かあったのかなって」
「あぁ!そのことかぁ!」

 ぽんと手を叩いて、にっこりと笑うその顔は眩しいという言葉が似合うほどのもの。
 そして、私はこの笑顔が大好きだった。
 私の大好きな笑顔だった。

「えっとね、今週末のデート用だよ」
「…でーと?」
「うん。デート」
「誰と?私が?え?なんでデート?」

 わからないことを一度に聞く私に、裕次お兄ちゃんは笑顔で丁寧に答えていく。

「俺と、奏ちゃんが。服は、今週末のホワイトデーデート用の」

 あぁ、そっか。今週末はホワイトデーだもんね。そっか、それで私が裕次お兄ちゃんとデートする時に…

「え、えぇー!?」
「わっ、どうしたの?俺何かおかしいこと言った?」

 言いました!

「なんで?え?ホワイトデーに?デート?裕次お兄ちゃんと?」
「え?奏ちゃんは俺とデートするの嫌!?」
「そ、そんなわけないじゃん!嬉しい……っ!!」

 思わず勢いで出てきてしまった言葉。慌てて口を塞いでももう後の祭りでした。
 裕次お兄ちゃんは目を見開いていたけれど、すぐにあの笑顔に戻った。

「それなら、良かった」

 そう一言言いながら。


|

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -