その後、折角だからと少しだけ一緒に歩いてみた。
その、明日のデートコースという場所を。
次の日。
勿論行った先は、私が好きな場所ばかり。
そして、当たり前だけれど、あの道へも行った。
コースを変えるっていう選択もあったけれど、あたしは敢えて何も言わなかった。
だって、折角蓮さんが考えてくれたデートなわけだから。
何の会話をしたか。どんなものを見ていたか。
実はしっかりとは覚えていない。
ただ、よく覚えているのは
嬉しそうに笑っている
蓮さんの顔だけ。
「ネクタイ?」
「使わないなら返してくれて結構です」
「使わないわけないだろう!こんな嬉しいプレゼントはない」
「そうですか?」
「当たり前だろう」
「なんで?」
「そりゃ、奏からもらったものだからに決まってるじゃないか」
そんな会話があったことは、…覚えています。
―Fin―
→あとがき
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