電車を降りて改札口を通ると、目の前に小さな商店街が広がっている。
小さなその駅にちょうど良いくらいの小さな商店街。
だけれど、人通りは多くとても元気の良い場所だった。
時間的にもそろそろ人が多くなる頃だろう。
「奏お姉ちゃん」
「何?」
「少しだけ歩くけれど…大丈夫?」
瞬くんは私の顔を覗き込むとそう告げた。
その仕草にもイチイチ反応する私の心臓。
赤くなった頬を悟られないよう素早く頷くと、瞬くんは安心したような顔をして歩き出した。
賑やかな商店街を少しだけ足早に過ぎる。
思ったよりも早い瞬くんの歩くスピード。いつも散歩に行く時はもう少しだけゆっくりだった気がするけれど。
どこに、行くのかな?
そう思いながら少しだけ商店街を見渡す。
と、私の視界にあるものが飛び込んできた。
「あれ?」
「どうかした?奏お姉ちゃん」
急に立ち止まった私に不思議そうに声を掛ける瞬くん。
「プラネタリウム、だって」
それは店先に貼られたポスターだった。
そこには綺麗なプラネタリウムの写真と「OPEN」と書かれた大きな文字。
「あ、この近くにね、もうすぐすごく綺麗なプラネタリウムが出来るんだ」
「そうなんだ?」
「うん。見える星も結構多いみたい。最新鋭のプラネタリウムって言ってたよ」
「すごい!きっとすごく綺麗なんだろうね」
私が少し興奮気味に言うと瞬くんはふわりと笑って話を続ける。
「そのプラネタリウム、二つの投影機を組み合わせた統合型のものらしくて『プラネタリウムの双子』とも言われてるんだって」
「双子、かぁ。なんか可愛いね」
詳しく話してくれる瞬くんを見て、私もふわりと笑う。
話を続けながら、またゆっくりと歩き始めた。
「ねぇ、奏お姉ちゃん?」
「何?」
「ここ、出来たら…僕と一緒に行ってくれる?」
こちらは見ずに、少し照れながら言う瞬くんに私は大きく頷きながら返事をした。
「勿論!喜んで」
「本当に?ありがとう」
「ふふっ。楽しみだね」
「うん。あ、そういえば」
「何?」
「『プラネタリウムのふたご』っていう本もあるんだよ」
「そうなの?雅季くんとか、持ってるかな?」
「あ、持ってそうだね」
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