私達が屋敷へ到着すると御堂さんが迎えてくれる。
『お帰りなさいませ、裕次様、奏様。』
「ただいま〜要さん。今日ね、奏ちゃんとケーキ買ってきたんだ!いっぱいあるから皆で食べよう♪」
目をキラキラ輝かせながら言う裕次お兄ちゃんに思わずクスッと笑う。
「あ、奏ちゃん今笑ったでしょ?何で何で?」
「だって、お兄ちゃん子供みたいだったんだもん」
そんなたわいのない会話をしつつ私達は食堂へ向かった。
家族団欒での夕食後、いよいよ買ってきたケーキがテーブルに広げられた。
「お、ケーキじゃん♪俺モンブランにするわ」
雅弥くんがスッと手を伸ばすと大きな手に遮られる。
「駄目ですよ雅弥、こう言うときは弟や妹に譲らなくては」
修一お兄ちゃんに言われて「ちぇっ」と呟くと雅弥くんの手が止まった。
その様子を見ていた雅季君がはぁ、とため息をつく。
「雅弥って、いつまでたっても成長しないね…」
「何だよ雅季、お前もしかしてモンブランが食いたかったのか?」
「そう言う事じゃなくて…」
呆れてめんどくさくなったのか雅季君はこれ以上喋らなかった。
「じゃあ、奏お姉ちゃんからケーキ選びなよ」
私の顔を覗きながら瞬くんがいってくれた。
お言葉に甘えて先に選ぶことにしたのだけれどどれも美味しそうで迷ってしまう。
「うーん…」
悩んでいると紅茶を持ってきた御堂さんが声をかけてくれた。
「お困りなようですね。宜しければ私がお嬢様にぴったりなケーキをお選びしましょうか?」
「私にぴったりなケーキ?」
すると御堂さんの顔が耳に近づき、小さな声で
「奏様のような可愛らしい方はあの真っ赤な苺がのったショートケーキなどいかがでしょうか?」
と呟く。
可愛いと言う言葉に反応してしまい、みるみると顔が赤くなってしまう。
「御堂さん、そんなお世辞言わなくていいですよ」
恥ずかしくてそう答えると御堂さんからそんなことありません、お嬢様は魅力的な方です。と言われてしまい、ますます顔が赤くなる一方であった。
結局私はショートケーキを選んだ。
最後に食べた大きくて真っ赤な苺は甘酸っぱさが口の中いっぱいに広がりとても
幸せな気分だった。
食事後、自分の部屋に戻ろうとすると後ろから呼び止められる。
振り向くとそこに居たのは…
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