30分後、ガレージへ向かうと裕次お兄ちゃんが嬉しそうにブンブンと手を振って、私を手招きする。
「え?車じゃないの?」
ガレージで集合というから、てっきり裕次お兄ちゃんのフェラーリで出掛けるんだとばかり思っていた。
「今日はね、これに乗ってお出掛けだよ♪」
裕次お兄ちゃんが指差したのは、フェラーリと同じ真っ赤な色をした自転車。
「さぁ、お姫様。出発の時間です」
得意げにチリン♪とベルを鳴らし、右手を私に差し出す。
少し戸惑いながらも手を重ねると、優しく私を抱えて自転車の後ろに座らせた。
「しっかり掴まっててね!」
裕次お兄ちゃんも自転車に跨ると、グンッとペダルをこいでガレージから飛び出した。
ワンワン
と、遠くでコジロウの声がする。
流れる景色に目を細め、風に揺れる裕次お兄ちゃんの髪を見ていた。
「あ!そうだ。まだ時間があるから、どこか寄りたい所ある?」
「え?寄りたいところ…?うーん…」
こんなにいいお天気だもんね。
そうだ!あそこに行ってみようかな…
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