君との誓いは胸の中


「お、お見合いー!?」
 部屋中に響き渡った自分の声。その声に反応した兄弟たちが一斉にこちらを見る。そんな中、『お見合い』という言葉を出したお父さんはにこにこ顔だ。隣に立っている御堂さんはどこか困り顔。
「ちょっと!父さん!奏ちゃんがお見合いってどういうこと!?」
 すぐに食いついてきたのは裕次お兄ちゃん。傍に駆け寄ってきて、少し大きい声でお父さんに詰め寄る。
 雅季くんは眼鏡を直しながら動向を見守っている様子。雅弥くんは口をあんぐりと開けて呆然としていて、自分と似たような驚いた顔をしている。瞬くんは気づいたら私の隣に来ていた。
 そして、修一お兄ちゃんは…コーヒーを飲みながら違う方向を向いている。さっきこっちを見た気がしたんだけれど…今は顔が見えないや。
「いや、これからのことを考えてだな…」
「でも、奏ちゃんはまだ高校生だよ!?お見合いなんて早い早い、絶対早いって!」
「そんなすぐにお見合いをって話ではないんだが」
「…僕は嫌だな。奏ちゃんがお見合いしちゃうの」
「瞬まで…」
 裕次お兄ちゃんが勢い良く反対の意を述べたかと思ったら、次の瞬間には瞬くんが私の服の裾を引っ張りながらぼそっと呟いた。
 お父さんは少しだけ困ったように笑いながら2人と話をしている。
「まあ、奏ちゃん。写真見るだけでも、ね?置いておくから」
「え?あ、はぁ…」
 そう言うと目の前のテーブルにお見合い写真の山が置かれた。
「父さん!すぐにはって言う割には結構な量があるじゃないか」
 裕次お兄ちゃんはぎゅっと私を抱きしめると、また少しだけ大きな声で言う。
「裕兄のシスコンっぷりはすごいな」
 その様子を見ていた雅弥くんが笑いながら言う。
「でも、俺も早いとは思うけれど」
 そう付け足しながら。また、雅季くんも
「僕もそう思う」
 と静かに言った。
「うぅ、なんだ。みんな奏ちゃんのお見合い話には反対なのか?」
 お父さんは少しだけしょんぼりとしながら言った。
 確かにこれからの西園寺家の発展とかを考えていったら、至極当然の話なのかもしれない。でも、まだ高校生…。正直、私も早い話なんじゃないかと思った。

 ―それと…

 私はちらっと修一お兄ちゃんを見る。会話に全然入ってこない上、こちらを見る様子も全くない。

 …修一お兄ちゃんは…どう思ったんだろう。

 私はそのことが気になったけれど、結局、最後まで修一お兄ちゃんは話に入ってこなかった。


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