時刻は午前0時を目前にしたところ。
 柄にもなく、もうすぐ誕生日だなんて思っていて。
 そしてきっと、壁を隔てた向こう側でも同じようなことを思っている奴がいるんだろう。

 僕とアイツは同じ日に生まれてきたのだから。

 ベッドに横たわり、天井をぼんやりと見つめても、勿論何かがあるわけじゃなくて。
 クリーム色をした無機質な天井が、向こうもまたぼんやりとこちらを見返してきているだけだった。

 アイツもきっと同じようにどこかを見つめているんだろう。

 僕の人生の中で、アイツの居ない日なんてなかった。
 当たり前だ。
 僕と一緒に生まれてきたんだからさ。

 でも、それがどこかすごく嫌だった。

 誕生日なんて…特にね。

 毎回一緒に祝われる誕生日。
 ケーキのプレートも一緒。
 プレゼントも同価値のもの。
 祝われる時、常にアイツも隣に居て。

 そのことが…どこか『誕生日は特別』という感じを僕にさせてくれなかった。

 カチッカチッと規則正しい音が鳴り響く部屋。
 今年もまた一緒なんだろうと思っていたんだ。

 ノック音が聞こえるまで。


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