服、雑貨を見て回って、ご飯はファストフードを買って食べ歩きをしたり。
 本当に広いその場所は見応えも充分。
 気づけば、一つ二つと荷物が増えていった。

「む。奏、それちょっと貸せ」
「へ?でも、これ…私の荷物ですよ?」
「ふふっ。わかっていないなぁ。レディには荷物を持たせないものだろう?」
「だけど、そんなに多くはないですし。大丈夫ですって」
「いいから貸せ」
 蓮さんは笑顔でそう言うとひょいっと荷物を持ってくれる。
「あ、ありがとうございます…」
「まぁ、当然だ」
 少し強引なところもあるけれど、こういうところを見ると…すごく優しい人なんだなと思う。
 そんな優しさに心がぽかぽかした。
「そうだ、奏。クレープでも食べないか?」
 笑顔のままそう言うと、蓮さんは私の返事を聞かずにまたずんずんと歩いていってしまう。
「もう、返事くらいさせて下さいよ!」
 それはすっかり蓮さんのペース。
 だけれど、それは全然居心地悪いものではなくて。

 なんだか、すごく楽しいな。

 こういうのも、たまには悪くないかも。と思う私だった。


 その日は結局本当に長い間買い物を楽しんでいた。
 日も暮れ始めた頃には二人とも歩き回ってくたくたになっていて。
 早めの帰路につくことにした。
「すまなかったな…疲れていたことに気づかなかったようだ」
 申し訳なさそうな顔で私の顔を覗き込む蓮さん。
「いえいえ。蓮さんこそ、疲れたでしょう?すごくはしゃいでましたもんね?」
 そう笑いながら言うと、蓮さんは真っ赤な顔をした。
「でも、私もすごく…楽しかったです」
「ほ、本当か?」
「はい、とっても」

 それは、本心。
 本当に本当に楽しかったのだから。

「じゃあ…」
「はい?」
「また、誘っても…いいか?」
 それは、いつもの強引な蓮さんとは思えないような言葉で。
 私はその言葉にまた一つ笑うと、こう返事をした。

「はい!また、行きましょう?」

 ちょっと強引な、子どものような人。
 たまには、こういうのも楽しいかもしれない。

 ねぇ、今度はどこに行きましょう?


―Fin―

→あとがき


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