「ねぇ?」

 暫くキスが続いた時だった。
 離れた彼女の唇から言葉が漏れる。
「修ちゃんは、今日はどんな一日だったの?」
 それは他愛もない会話の一部分だった。
「俺?」
「そう。たまには、聞いてみたいなぁって思ったんだ」
 そして、続いていたキスが途切れた。
 それでも、彼女はすっぽりと自分の腕の中におさまっている。
 ふっと笑いながらこちらを見上げる奏は、やけに艶っぽく…でもどこかまだ幼いそんな表情に見えた。
「では…今日はたくさんお話をしましょうか」
「うん!」
 そして、無邪気に笑い頷く。

 そんな奏だから、
 俺は君を好きになったんだよ?

「ん…でも」
「何?」
「もう一度、キスさせて?」
「…うん」

 薄く色づいた頬に、伏せられた睫毛。
 柔らかく口付ければ、知れる温もり。

 この腕で抱き締めれる幸せ。
 時間なんて、経たなければいいのに。


 俺はまだまだ

 君に溺れてしまいそうだよ。



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