「急に、どうしたんですか?」
 やっと出た言葉も少し絶え絶えで。
 そんな声に自分で恥ずかしくなる。
「…今日も、ご兄弟と楽しそうに話をされていましたね」
「え?」
 首筋にキスを落としながら紡がれる言葉。それはなんだか噛み合わない。
「裕次様と雅弥様とはテレビで盛り上がっていて、雅季様とは…本のお話でしたか?口数の少ない瞬様もよく喋っておられました」
 その言葉と共に落とされるキス。
 少しだけ開いている首元に一つ、赤い痕がつく。
「…あっ…」
 その言葉に、仕草に、何も言えないでいる自分がいる。
「修一様とは…朝お話になられていましたね」
「かな…め…さ…?」
 その熱に上手く言葉が出てこない。
 でも、感じてる。

 ねぇ、これは嫉妬?ヤキモチ?
 独占…欲?

「…俺は、貴方だけを見ているのにっ」

 その言葉にどくんっと心臓が跳ねる。

「もう…少しだけ」
「ん…っ」
「…綺麗な声を聴かせて…?」

 重なる唇に、もう何も抵抗できない。

 私だって…貴方を見ているよ…?

「わかる所に、シルシ、つけようか?」
「…え!?」

 くすっと笑うその表情。
 月明かりに照らされて、さらに妖しく聴こえる声。

 今日もきっと、
 貴方に溺れるわ。


「続きは…また、後で。…部屋においで?」




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