そして、土曜日はあっという間にやってきた。
その日はよく晴れた日で、出かけるにはちょうど良い気候だった。
朝、食堂で朝食を済ませて廊下へ出ると、裕次お兄ちゃんがやってきた。
「おはよう。裕次お兄ちゃん」
「おはよう!」
裕次お兄ちゃんはニコニコ笑っていた。今日のこと、嬉しいのかな?
「あ、奏ちゃん」
「うん?何?」
「あのね、放課後なんだけれど」
「うん」
「待ち合わせは校門前ね」
裕次お兄ちゃんは嬉しそうに笑いながら言った。
「え?待ち合わせ?」
私はてっきり帰ってきてから出かけるのかと思っていた。だから、つい聞き返してしまった。
「うん。待ち合わせ」
「でも…私、制服のままだよ?」
「それでいいの!じゃあ、また後でねー」
「え?え?ちょ、ちょっと待っ…」
私の声はニコニコ笑顔の裕次お兄ちゃんには届かなかった。
制服のままで?校門前で待ち合わせ?
私の頭の上に、再びクエスチョンマークが浮かぶ。
そして、私はその疑問を持ったまま学校に行くことになった。
← | →