結局、私は帰るまで他の友人にバレないかと気が気じゃなかった。
 SHRが終わり、放課後になると特に用事のなかった私は一目散に帰ることにした。
 が。こういう時に限って声を掛けられたりするものだ。
「おや、今日はもうお帰りですか?」
 廊下でふいに声を掛けられる。この声は…
「シュウイチ先生…」
 少しビクビクしながら振り返ると、そこにいたのは修一お兄ちゃん。相変わらず、ふわっとした笑顔で立っている。
「うん?どうかしましたか?」
「え!?いや、全然!あ、そうそう!もう今から帰るところなんです!それでは…」
 早口で言って踵を返す。すると、気づいて欲しくないことに彼は気づいてしまった。
「おや?首、どうかしたんですか?赤いですが…」

 きっと振り返った時に見えちゃったんだ…!

「あ、こ、ここ蚊に刺されちゃったんです。ちょっと痒くて困るんですよね。あはははは…。では!お先に失礼します!」
 そう言って一礼をしてその場を立ち去る。正直なところ、怪しさは120%だと思う。
 修一お兄ちゃんはそんな私の様子に少しポカンとしていたけれど、私は構わず早足で玄関へと向かった。

 …よく考えたら…家帰ったら気づきそうな人ばっかりだよね。

 修一お兄ちゃんには今気づかれちゃったし、裕次お兄ちゃんはスキンシップが多いからすぐにわかっちゃいそうだし。
 雅季くんは…何も言わなそうだけれど、気づきそうだし。雅弥くんはなんかポロッと聞いてそうだな。瞬くんに関しては即行で気づかれそう!
 そんなことをぐるぐると頭の中で考える。
 本当に…一体いつ付けられたんだろう…。全然覚えてないよ…。
 頭の中はそのことでいっぱいいっぱいだ。
 つけた人に関してはわかっている。絶対にあの人。澄ました顔して大胆なことばかりするんだから。


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