彼女が課題を終え、自分の部屋へと帰っていった後。
書斎に行こうと廊下へと出た。と、そこにちょうど要さんが通りかかる。
「要さん、さっきはありがとう」
「いいえ。雅季様はこれから書斎へ行かれるのですか?」
「あぁ、読みたい本があるから」
そう言うと、それではカップを下げていきますねと笑顔で言われる。
そんな彼に…さりげなく聞こうとした。すると、
「奏お嬢様なら、先程修一様のお部屋へ行かれたみたいですよ」
にっこりと笑顔で言われる。
…ばれてる?
「…どうして?」
「顔に書いてありましたので」
その後、何か言っていた気がしたけれど…小さい声だったからわからなかった。
ちょっと前から気になっていた。
最近…奏、修一兄さんと仲良くないか?って。
実は、それがちょっと面白くなかったりする。
それがどんな感情なのかはわからないのだけれど…。
「それでは。失礼致します、雅季様」
「え?あ、あぁ」
彼の背中を少しだけ見つめ、その後すぐに書斎へと向かうのだった。
*****+*****+*****
「…やれやれ。これは、想うだけでも大変そうだな…。しかし、困ったもんだな、自分にも」
そう、小さく要が呟いたことを、彼らは知らない。
―Fin―
→あとがき
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