夕陽に染まるグラウンドの片隅で君と出会ったんだ。
「あれ?雅弥待ってるの?」
どうしてそうしようと思ったのかわからないけれど、俺は迷わず彼女に声を掛けたんだ。
今思えば、それは偶然でもなんでもない…しいて言うなら必然とか運命とか。そういう言葉が合いそうだった。
「え?」
「あ、突然ごめんね。雅弥の妹の…奏ちゃんでしょ?」
「う、うん…」
「雅弥ならさっき部室戻ったから、すぐに来ると思うよ」
ずれて来た鞄を掛け直しながら言った。
なんでかなぁ。いつもと変わらない口調で話してるつもりなのに、なんか上手く喋れない。
彼女の表情は上手く読み取れなかった。
赤い顔をしているのか、それとも夕陽のせいで頬が染まっているのか…よくわからなかったけれど。
ひとつだけ、しっかりわかったことがある。
「ありがとう…蒼井くん」
夕陽にも負けないくらい綺麗な笑みを君がくれたこと。
そして、
俺はそれだけで
簡単に恋に落ちたこと。
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