いつからこの場所が、一番安心できる場所になったのか。
 もうそれすら忘れてしまったのだけれど。

「どうかしました?要さん」

 ぼーっとその横顔を見ていたら、ふいに目が合い、不思議そうな顔をされてしまった。

「え?いや、可愛いなと思って…」
「えぇ!?な、何言ってるんですか!」

 そしてその顔は一瞬にして真っ赤に染まる。
 白いソファと彼女の白い肌のせいで、その赤は一層赤みを帯びて見えてしまう。

 だけれど、どうしてだろう。

「へ、変な要さん…!」
「ふふっ。そうですか?お嬢様」
「いじわるー!」
「あはは」

 確かに、自分でも少し思う。
 なんか変かも。

 幸せすぎて、いろんなことが麻痺してしまったんだろうか。
 一人でいるという感覚を忘れてしまったような、そんな気分にもなる。

 それは、きっと目の前にいる彼女、奏のせいなんだろうということは明白だった。

 白と黒しかなかった自分の世界に、彩りを加えていったのは…間違いなく彼女だから。


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