とりあえず。どうやってあの2人のガードをくぐり抜けようか。
そんなあほみたいなことを考える授業中。
俺の席はありがたいことに窓側の一番後ろの席。考え事をするにはうってつけの場所だ。
今日の空といったら、俺の気持ちとは正反対の晴れ晴れとしたものだ。
ちょっと、憎い。
数学の授業中、黒板にいくつもの数式が並べられていく。
ノートに写しながら問題を解いたりしてみても…あの問題は解決しない。
噂だと…いや、実際本当のことなんだけれど、ことごとくあの2人の前に勇者たちは姿を消していってると…。
まして、ここは学校。社会科の修一先生だって彼女の兄だし、中等部には弟くんまでいる。
…どんだけガード堅いんだ。
「蒼井、この問題解いてみろ」
「は、はい!」
そして、こんなタイミングで必ずと言って良いほど…ご指名される俺。
数式を解くように、簡単なら良いんだけれどなぁ。
たまに話せても、まだまだ遠い奏ちゃんとの距離。
どうやったら、この距離縮めることが出来ますか?神様。
俺に足りないものって何?神様。
そりゃあ、雅弥よりサッカーが上手いわけでもないし、雅季より頭の回転が良いわけじゃない。
けれど、
ねぇ、あと必要なものってなんだろう。
勇気?きっかけ?
もはや運命?
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