隣の教室の…窓側から2番目の席。
後ろから3番目で、廊下からだとちょうどドアから見やすい位置にいる。
それが、君の席だ。
廊下側からだと少し声を掛けづらくて、いっつも覗いてばかりいる俺。
時々、廊下側の席に居る雅弥に見つかっては声を掛けられるんだ。
廊下を通った時の…ちょっとした楽しみ。
「おい、巧。なーにしてんだよ」
「え?いや、別に…」
「お前、しょっちゅうここ通るよな。なんかあんのか?」
「べ、別に!たまたまだよ、たまたま」
ニヤッとした笑みを浮かべて声を掛けてきたのは雅弥だった。
窓の桟に腕をつき、面白おかしそうにこちらを見ている。
チラッと見た先には君の姿。クラスメイトの女の子たちと談話中のようだ。
「そろそろ授業始まるぞ?巧」
「わ、わかってるって!」
なんでかという理由を知っているわけでもないのに。雅弥はニヤニヤとした笑顔をやめようとしない。
もしかして、バレてんのかな?
そうだとしたら…ちょっと厄介なんだけれど。
だって、俺の好きな人…奏ちゃんは雅弥の妹だから。
絶対…妨害されそう。
雅弥ってそういう奴。
もちろん…
「巧?何してるの?教室入らないの?」
「あ、雅季!え?あ!は、入る入る!」
この双子の兄…雅季もまたそういう奴だと思う。
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