「…解けた!けど、合ってるかな?」
「じゃあ、見せて」

 両手を挙げて伸びをしている彼女。
 さっとノートを取って、彼女が今解いた問題をチェックする。
 彼女はじっと自分を見ていた。

「ん。残念」
「え?違った…?」

 眉尻を下げて彼女が聞いてくる。

「なんてね。正解、合ってるよ」

 笑って答える。

「もー、雅季くんのいじわる!折角教えてもらったのに違ったらどうしようってドキドキしたんだよー!」

 そう言うと、むくれ顔になる彼女。
 そんな奏の口をそっと塞いだ。

「ま、雅季くん」

 そっと離れた後。驚いて顔が赤くなっている奏。
 そんな彼女を余所に淡々とした口調で答える。

「ご褒美。正解したからね」
「こ、これだったの?」
「嫌?」
「い、嫌じゃ…ない…けど」

 ますます顔が赤っていく。

「今度は違う意味で…ドキドキするよ」
「それなら、良いじゃん」
 もう一度キスをする。今度はさっきよりも少しだけ長めに。
「…」
「まだ、足りない?」
「それ、…聞く?」

 顔を真っ赤にしたまま、顔は近いままの会話。
 この距離が良い。この距離は僕だけのものだから。
 この距離には…誰にも近づかせないからね。

「言ったでしょ?」
「え?」
「『どういう意味かわかってる?』って」
「…あ」

 彼女の言葉に続きはなかった。
 だって、僕が口を塞いでしまったから。


 僕にとっての青い鳥は、間違いなく君だったよ。
 もう離さないから。逃がしたりしないから。

 …覚悟しててよ?奏?

―Fin―


→あとがき


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