【Side 裕次】

「…」
「…」
「やれやれ…」
「本人に気づかれ始めたんじゃ、話にならないですね」
「弟たちも薄々気づいてるみたいだ。裕次なんて様子がおかしい。気づいていないのは雅弥くらいなもんだ」
「元々、雅季様と瞬様は勘がよろしいですし」
「…要くん」
「はい?」
「今は、敬語なしで構わないよ」


 二人の呟きが少し先から聞こえる。
 …俺は、またとんでもない場所に出くわしてしまったらしい。
 たまたま…たまたま通りかかっただけなんだけれどなぁ…。

 なんかとんでもない現場、見ちゃった気がするんだ。


「全く、君の気持ちを知ってしまってから…どうしたらいいか自分でもわからないよ」
「ふふっ。それは、同感だな」


 うわぁ、笑顔だけど、笑顔だけど!
 笑ってない!笑ってない!
 怖いよ、俺からしたら怖いって!!


「でも」
「うん?」
「いくら修一でも、譲れないな。こればかりは」
「要も言うね」


 ちょ、ひ、火花!火花が今見えた!
 って、俺…ここで見てても大丈夫?大丈夫なの?


「お互い譲る気はなさそうだし」
「とりあえず…」

「「正々堂々勝負するか」」


 …。
 とりあえず、雅季か瞬くんか…そのあたりに話してみようかな。


 まさかあの二人があそこまで…。

 罪な人だね、奏ちゃん。

 とぼとぼと行った言葉が似合いそうな歩調で、俺は談話室にいるであろう弟たちの所へと向かうのだった。


―Fin―

→あとがき


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