人類最惹の自由世界2



復活×戯言。

バリバリ捏造。

夢主設定は以前載せた人類最惹の設定。



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黒曜センターでの壮絶な戦いを終え、復讐者の鎖が骸達に掛かろうとしたその時、彼女は現れた。



『その子達からその手を離しなさい』



彼女の声が、復讐者達に届いた瞬間。

復讐者達は頭が地に着く程深く頭を垂れ、彼女の前に跪いた。

ソレをさの迷惑だと言いたげな、苦笑いで彼女はチラッと見てからツナ達の方を向いた。



『やぁ、《こちらの世界》では初めましてだね。ボンゴレ十代目候補、沢田綱吉君』

「千無…?」



居る筈の無い人物の登場に、驚かなかった訳では無い。

ただ、驚き過ぎて…逆に冷静になった。

そして、彼女の纏う空気があまりにも、変わらな過ぎて、此の空間では異常なものとなっていた。



『うん、半分正解だよ。今の私は、神槻千無であり、神槻千無では無い』


「その事についてはあたしが説明するよ」

「幸ちゃん?!」

「ブブー不正解。
あたしの本当の名前は、守幸 昧。
裏世界では《人類静観》とか呼ばれてるのよ」

「そして、千無は《人類最惹の自由人》よ。
あたしは《曖昧線》で《傍観者》な《人類最惹の親友》。
裏世界の説明はまた後でしてあげるわ。…千無」



まさかのクラスメイトの登場にツナ達は更に混乱する。

何故、こんな所に彼女の様な人が居るのだろうか…?

疑問は解消されぬまま、ただ募るだけ。

そんなツナ達を千無は一瞥すると、倒れている骸達の方に歩いて行った。



『久し振りだね、骸、犬、千種』

「神織…ですか」

「神織しゃん…!?」

「…神織さま、」

『もう、止めな。復讐なんてして何になる?』

「…っ、貴女には分からない!」



そう言った人間は沢山居た。
ソイツ等は皆、口だけで、偽善者ばかりだった。そんな人間と同じ言葉を紡いだ彼女に思わず骸は声を荒げた。

だが、目の前の彼女はソレに対して、凪いだように静かな瞳と無表情で答えた。



『当たり前だ。他人の気持ちなんて、お前等が言葉で伝えようとしてくれなきゃ分かる訳無いだろう』

「………」

『それにな、世界は、どんなに頑張ったって終わらないよ。
どんなに強くなったって壊せやしない。』

「貴女ならば、壊せますよ…」



彼女の力を知るからこそ骸はそう言ったが、彼女はそれを呆気なく否定した。



『いいや、無理だ。
あのな骸、私の知り合いに[自分にとっての世界の終わりとは何か]聞いてみた事があるんだ』

「…何と答えたのですか?」

『ある従者は「主人の死」と。ある殺人鬼は「自身の死」と。ある殺人鬼は「家賊の存在の消滅」と。
そして、ある欠陥製品な戯言遣いは「世界は終わらない」と、答えたよ。

自分の世界というものを人はそれぞれ持っている。
それは他人にはどうにも出来ない確立された世界だ。

それを否定し、個人の個性すら否定し、

「全て同じ事」

言った人類最悪も居るが、私は世界は終わらないと断言しよう。
世界は私達如きがどうにか出来る代物では無いのだから。

故に、世界は"終わらない"』

「…そうですね。では、貴女にとっての世界の終わりはなんでしょうか?」



その問い掛けに彼女は、人類最惹は世界を魅せた笑みを浮かべ答えた。



『皆が、居なくなった時と私が私で無くなった時』



その彼女らしい答えに骸は苦笑した。



(あぁ…やはり、)



目の前で出逢った時と変わらぬ笑みを称えた最愛なる存在を見て思う。



(貴女には敵いませんね…)



「…分かりましたよ。神織。…少々疲れたようです。今は眠りますね…」

『おやすみ骸』



骸は、彼女の言葉にフッと笑みを零して気を失った。



そんな骸を見てから、千無はまだ跪いている復讐者達に向き直った。



『骸達は私の元に置かせて貰う』

「ソレガ人類最惹ノ願イナラバ…」



そう言って、ガチャガチャと鎖を解いた。



『ありがとう』



復讐者達が去り、唖然としたまま千無達のやり取りを見ていたツナ達と、《人類最惹》という言葉から、ある事に気が付いたリボーンに千無は笑顔を浮かべて言った。



『満身創痍、といった感じだね?ツナ。
色々聞きたいこともあるだろうけどね、今は兎に角、傷を癒す為に並盛に帰ろう』



その何時もと変わらない笑みにツナは自分の直感でも何でも無く、ただ気が付いたら頷いていた。





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