人類最惹の自由世界3






「……次期ボンゴレボス、沢田綱吉を守護するにふさわしい六名に届けられた。
しかも今回は一人多くて七人だぞ」

『…ちょっと、私はツナの守護者にはならないよ』

「##NAME2##!?」



突然姿を現した##NAME2##にツナは驚き、守護者という単語が頭に引っかかった。



「…って##NAME2##もこのリングを持ってるのっ!?」

『うん。貰っちゃった♪』

「貰っちゃったじゃないよっ!!貰っちゃったじゃっ!!それより、##NAME2##を戦いに巻き込む気なのか!?」



ツナが叫ぶのも当たり前で、##NAME2##が戦っている姿など、一度も見たことがないのだ。

本人も周りも強いとは言うが、その真偽は確かなものでは無く。

よりによって、過酷になると思われるリング争奪戦に参加することが本人の意志により決まっているから愕然とした。

それはツナが愕然するのも当たり前だ。



『やだなぁ…私はツナより実戦経験はあるし、本質的にはこの間襲って来たスクの方に近いんだよ?
まぁ、私の方が圧倒的に上だけどね』

あ、これは自惚れでも何でも無いから。
ただの事実。



そう言って微笑む彼女に



「……##NAME2##……?」



##NAME2##が見せた妖艶な微笑に、禍々しく歪む微笑の裏に隠されたモノに、ツナとリボーンは畏を感じた。

それは恐怖では無く、"畏怖"。

その絶対なる存在そのものによって体が支配された。

それは誰でもなく##NAME2##がその場にいた全員を支配していたこと他ならない。

そう、誰でもなく、##NAME2##が、≪人類最惹の自由人≫とさえ、≪砂漠の猫≫と称される程に気紛れで気分家な彼女が。

とてつもなく圧倒的なその絶対者にツナは支配され、##NAME2##をこの戦いに巻き込んではいけないと骸戦後から度々沸き起こる勘というべき超直感が告げる。

日に日に強くなる予感に、ツナは身も毛もよだつ震えが体を支配した。

どうしても、体が勝手に震えてしまうのを止められなかった。

…それは、同時に≪人類最惹≫である彼女に支配されるという歓喜の震えが混じっていたからだろう。

この最愛なる最惹を守らなければ、否…【守りたい】という激情が混じって、混ざり有っていた。

光陰のリングと呼ばれる、ボンゴレ秘中のリング。

幻と謂われる光陰のリングは光と闇のリングとも呼ばれ、1度しかボンゴレに現れていないという幻のリング。
そのリングは##NAME2##の手にある。

真っ黒な色と淡い光が入り混じったようなリング。

ツナに見せるようにチェーンを通したリングを持っていた。

そんなリングを見たツナはリングに引き寄せられたように手を伸ばす。



「ツナ!」

「っ!?」



ツナの指先がリングに触れた瞬間、リングがツナを拒絶するが如く弾かれた。

それにツナ自身、獄寺や山本も驚いた。



「……あの噂は本当のようだな…」

「え?」

「リングにはそれぞれ天候になぞられてるんだぞ。
お前が持っているリングはすべてに染まりつつ、すべてを飲みこみ、包容するな大空のようだったと言われている。
《大空のリング》

山本のリングはすべてを洗い流す恵みの村雨。
《雨のリング》

獄寺のリングは荒々しく吹き荒れる疾風。
《嵐のリング》

他にもなにものにもとらわれず我が道をいく孤高の浮き雲。
《雲のリング》

明るく大空を照らす日輪。
《晴のリング》

実体のつかめぬ幻影。
《霧のリング》

激しい一撃を秘めた雷電。
《雷のリング》

がある。ただし、##NAME2##の持つ《光陰のリング》は別称≪光闇のリング≫とも呼ばれていて、光と闇を意味している」

『こう‐いん【光陰】。確か、「《「光」は日、「陰」は月の意》月日。年月。時間」だったよね』



《光陰のリング》

又の名を
《光闇のリング》
とも言い、初代以来守護者が現れていないリング。

光と闇の対極にある二つを供えたリング。



「全てを照らす光であり、全てを呑み込む闇。
時として、光陰に害を成す存在を光で焼き消し、闇に墜とす。
というのが仰々しいが、意味だ。
時の守護者と呼ばれる事も稀にだがある。
大空は光無くしては存在出来ないが故に光を求め、それと同様に闇を求める。
全ての守護者、全ての存在が必要とするそこに在るべき光陰。
その守護者は、常に自身の為に動き、周りが望むならば力を惜しみ無く奮うと言われている。
あくまで、自分の為に動くのが特徴だぞ。
ファミリーはついで扱いされる場合が殆どだ。
光陰の守護者はファミリーの人間を気に入っていなければ助けないからな。
初代以来守護者はたてられていない。誰も守護者に成れなかった。
光陰のリングは守護者を選ぶ」


──────


『ボンゴレファミリーにおける守護者とは、ボンゴレリングを有する6人の幹部を指す。
必ずしもボンゴレファミリーに所属していなければならないという縛りはないけれど、ファミリーに危機が訪れた時には必ず6人の守護者が集められ、どんな困難でも乗り越えると言われているんだよね。

それぞれの守護者に以下のような使命が与えられているんだ。
それぞれ相応しい人物が選定される。

嵐…「荒々しく吹き荒れる疾風(はやて)」
「常に攻撃の核となり、休むことのない怒濤の嵐」

雨…「全てを洗い流す恵みの村雨」
「戦いを清算し、流れた血を洗い流す鎮魂歌(レクイエム)の雨」

雲…「何者にもとらわれず我が道をいく浮雲」
「何ものにもとらわれることなく、独自の立場からファミリーを守護する孤高の浮雲」

晴…「明るく大空を照らす日輪」
「ファミリーを襲う逆境を自らの肉体で砕き、明るく照らす日輪」

雷…「激しい一撃を秘めた雷電」
「雷電となるだけでなく、ファミリーへのダメージを一手に引き受け、消し去る避雷針」

霧…「実態のつかめぬ幻影」
「無いものを在るものとし、在るものを無いものとすることで敵を惑わし、ファミリーの実態をつかませないまやかしの幻影」





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