ロジャー死亡→また海賊に転生。 * * * 痛いと、訴えている。 消えない声が、訴えている。 痛みを消す方法を、探しあぐねて立ち止まって。 その痛みよりずっと深いところで、後悔の念が渦を巻く。 どうして、帰ってきてしまったのだろう。 俺に、いったい何が、できるだろう─────。 * * * "───俺の財宝か?くれてやるぜ。 探してみろ、この世の全てをそこに置いてきた…!!" 海賊王“ゴール・D・ロジャー”の遺したこの言葉により、世は今まさに大海賊時代を迎えていた。 『まさか、俺の言った言葉でこんな風になるとはなァ…』 そんな呟きは小波の音に掻き消された。 ここは"東の海(イーストブルー)"レッドラインとグランドラインで区分される4つの海の中でも最弱と言われており、賞金首の平均賞金額も300万ベリー程度である。しかし凶悪な賞金首がいない故に、平和の象徴ともされている。 そんな海の小さな小さな名も無い島。いわば無人島と呼ばれる所に彼は居た。 彼の名は、生まれた時から無かった。何故なら親が居なかったからだ。 しかし、彼は名を持った。 彼の名は─── 『俺がゴール・D・ロジャーだなんて誰も信じねェか…』 この大海賊時代の幕開けとなる言葉を放った人物、ゴール・D・ロジャーその人であったからだ。 終わったと思えば、それは始まりに過ぎなかった 『お〜、アレか俺が死んだ処刑台は…』 ぽつりと、始まりと終わりの町(ローグタウン)の処刑台を眺めながら呟く。 あの時のことを思い出せば、自然と口角が吊り上がるのが分かった。 俺の名前はゴール・D・ロジャー。この名前を知らねェ奴はこの時代にはいない。あんまりにも有名な名前だ。悪い意味でも良い意味でも、7:3くらいの割合で有名だ。 なので、本名は隠してる。仮名としてオールダー・グロッグと名乗っている。 まぁ、これも自分の名前を文字ってアナグラムを変えただけだから勘の良い奴とかは気付くかもな。 あとは白ひげの野郎とかレイリーは気付くかな。センゴクやらガープは気付きそうだ。 Older・Grog(オールダー・グロッグ) アナグラムを変えれば、 Gol D. Roger/Gold Roger(ゴール・D・ロジャー) ま、俺の姿は若い頃の俺そのものだから見れば分かっちまうがな。 それにしても驚いたぜ。死んだと思ったらまた生まれてて、赤ん坊からやり直し。 母親と父親は俺が16の時死んだ。俺は既に二度目の人生、1人で生きてく術は身に付いてる。 何故俺がまた生を授かったかは分からねェが、せっかくの人生だ。楽しむことにしよう。 『ほんじゃ、行くとするか…偉大なる航路(グランドライン)』 町を出て、導きの灯を辿り目の前に聳え立つ赤い土の大陸(レッドライン)の懐かしさに頬の筋肉を緩めた。 ・ [*前] | [次#] ページ: |