多重トリップ(エース救出編※長文注意@)



一応書いて見た多重トリップ主で海賊、エース救出編





絶をしたままルフィ達の戦いを見守る。

ルフィ達が獄卒獣達を簡単に吹っ飛ばした所を見て、フッと口元が緩んだのを感じた。

マゼランの毒にルフィがやられた時、本気で止めようかと思った。
…けれど、それと同時にもっと見ていたくなった。

この先は原作を読んで知っている。
ルフィの寿命が十年分無くなることも…、それでも彼のその生命力と魂の輝きをこのまま見ていたかった。
原作通りの彼の姿を……。

サディちゃんとイワンコフが戦っている間に、ルフィ達はハンニャバルと相対していた。


「か弱い庶民の明るい未来を守る為!!前代未聞の海賊“麦わら”!!署長に代わって極刑を言い渡す!!!」


その言葉に思わず噴き出す。確かに彼は“前代未聞”だ。
本当にロジャーと似ている。


「どけ」

「やだねーっ!!!」(バーン!!)


…このやり取り超アホっぽい。何なんだろうハンニャバルって…嫌いじゃあ無いんだけどなぁ。





その後、ハンニャバルは強かったが、ルフィはもっと強い。ルフィに優勢な戦いの中、ハンニャバルは諦めなかった。


「ハ…ハンニャバル副署長!!」

「もう立たないで…死んじまいます!!!」

「何を…貴様らシャバで悪名を揚げただけの………“海賊”に“謀反人”………!!!
何が兄貴を助けるだ!!
社会のゴミが奇麗事をぬかすな!!!貴様らが海へ出て存在するだけで…!!!庶民は愛する者を失う恐怖で夜も眠れない!!!

「か弱き人々にご安心頂く為に凶悪な犯罪者達を閉じ込めておく、ここは地獄の大砦!!!
それが破れちゃこの世は恐怖のドン底じゃろうがィ!!!出さんと言ったら一歩も出さん!!!」

「副署長……!!!」

(………その想いは分かる。けれど、)



『君が大切に思う民が居るように、ルフィにだって大切に思う人達が居る』



「おれはエースの命が大事だ!!!だからどけ!!」



(少なくとも私は───…)



本当に大切なもの

(彼等が大切なんだ)
(ただ、傷付かないで欲しい、泣かないで欲しい、笑っていて欲しい…)
(全部が叶わねなら、せめて生きていて欲しい…と)





(……エース…)


──────




『マーシャル・D・ティーチ』

「テメェはっ…?!」


ルフィ達が行ってからティーチ達に声を掛ける。


『貴様の狙いは分かっている。まだ命が惜しいなら───処刑場に姿を現すな』

「……ゼハハハ…。それは、どうだろうな?テメェが相手だろうとおれは負ける気がしねぇ!!」

『…愚かな。ヤミヤミの実の能力で私に勝てるなど思い上がりにも程がある。これは、警告だ。“夢は終わらない”と言ったお前は嫌いじゃ無かった。だから、一度だけチャンスをやる。余計な野望は持たず、一海賊団として“ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”を目指すというならば見逃してやる。……だが、処刑場に姿を見せたら───』


そのまま、絶をし私はルフィ達を追った。動力室には幻術を掛けて眠らせた者達。そこに影分身を動力室に残しボン・クレーを救出して…


正義の門が開いたと騒ぐ脱獄囚の一団。
男だらけでとてもむさ苦しい…

そんな中、言い争うルフィとジンベエの間にボン・クレーを投下。


「ギャアッ!!」

「うわッ、なんだ!?…ってボンちゃん?!」

「あら、あちしなんでここに…」


移動の際、気絶していた為に現状を把握出来ず呆然とするボン・クレーと唖然とするルフィ達の所に降りて、声を掛ける。


『あのまま死なすには惜しかったからね。連れて来たんだよ。大丈夫、動力室の人間にはちょっと仕掛けをしてきたから門はちゃんと開くし、私達の船が入った瞬間閉じる』


突然掛けられた声に驚く様に悪い事をしたかな、と思いながらも思わず笑う。


「名無?!」

「名無って…、まさかあの“客天の名無”じゃなっちゃブルでしょうね?!」


どうやら私を知っているらしい脱獄囚数名とイワンコフが鋭い目を向けてくる。


「お前さんか、名無…アンタが今回の戦争に参加するとはのう」


白ひげの船で何度か会った事のあるジンベエは少し驚いたようにそう言った。
クロコダイルはただ静かに私の方を見ているのが分かる。ルフィはジッとあの真っ直ぐな目を向けていた。


『そう?私としてはエースを処刑なんて巫山戯た真似をしようとしている人間をどうしてくれようかと腸が煮えくり返っているんだけれど(にーっこり)』


笑顔でそう言うと、


「……そうじゃな。エースはお前さんに懐いておったし、お前さんは白ひげの親父さんを父と呼んでおったのじゃから当然か」


と、その青い肌を更に青褪めさせてそう言った。

後ろでガタガタ震える脱獄囚の一団と、何故か目を逸らすクロコダイルに、冷や汗を流すイワンコフ。
コソコソと「恐ェェ(泣)」などと言っていたが知らん。

そんな中、ルフィが目の前にやって来た。


「おれは、久しぶりに名無に会えてすっげー嬉しい。でも、今はエースが危ねェんだ…」

『うん』

「よく分かんねェけど、ボンちゃん助けてくれたのも名無なんだろ」

『まぁね』

「エース助けんの、手伝ってくれんだろ」


そう言ったルフィの頭を撫でて、私は笑った。


『当たり前だろう?』


そう言うと、ルフィはニカッと笑って「んじゃ、一緒に行こう!!」と言った。

そんな私達の様子を見て、士気が上がる。


『ジンベエ、私も風で援護する。最高速度で向かうぞ』

「分かった」




この時───世界最大の海底監獄インペルダウンより脱獄に成功した囚人の数───総勢241名

インペルダウンの歴史上最大の失態となるが───事件はまだ終わってはいなかった


ポートガス・D・エース
公開処刑まで
───あと4時間







世界政府専用航路“タライ海流”に乗って艦を進行中、暫くして何やらイワンコフがカマーランド組と話している。


「ヴァターシも自分の受けた一種類の毒は「治癒ホルモン」と「テンションホルモン」で吹き飛ばしたけれど、片や寿命を縮め、片や後に激しい後遺症を伴う力技。
できる事なら時間をかけて真っ当に回復するに越した事はないんだよ」


ふぅーん…
イナズマ、結構大変みたいだな。ルフィ達が助けて貰ったみたいだし、少し力を使おうかな。


『なら、私の力を使って治そうか?』

「……!!ヴァナタが…?」

『うん。どうやらルフィを助けてくれたみたいだからね。お礼だと思って』


そう告げて、イナズマとイワンコフに両手を向ける。


『≪我乞う。我はこの事象を拒絶する≫』


言霊を唱えると同時に2人の怪我が回帰していく。これは、回復させるのでは無く、元在った状態に回帰させる技。
ブ●ーチに出て来る織姫の技に似たものだ。

少しして、完全に回帰した2人。イナズマは目覚めないものの、ちゃんと治っている。

私を驚いたように見つめるイワンコフに私は人指し指を唇に当てる事で答えた。



そして、何やらボン・クレーと騒ぐ一団を擦り抜け、ジンベエの元へ向かう。

何やらクロコダイルと話しているジンベエに、話が途切れるのを見計らい声を掛ける。


『ジンベエ』

「名無君。どうしたんじゃ」


チラッとこちらを見たクロコダイルはスルーしてジンベエに歩み寄る。


『いや、ちょっとこれからの事について少し話そうかと思ってさ───』



 * * * 



ジンベエとの話を終えて、人が居ない場所まで歩く。
すると、後ろから抱き締められた。
香る葉巻の匂いと砂の渇いた香りに後ろに居る相手を察する。


『なんだ、クロコダイル?』

「……ハッ、なんだ…だと?久しぶりにお前に会えたんだ、捕まえねェでどうする」

『参ったな。私は貴方の想いにきちんとお断わりを告げた筈だけど…』

「おれは海賊だ。欲しいもんは奪う」

『…そう。なら、一生奪えはしないさ』


身体くらいあげるさ、嫌いなわけじゃないんだから。だけど、心はあげない。誰にも、ね。



 * * * 



何やら艦の上が騒がしくなってきた。
どうやらカマーランド組以外の奴等が漸くこの艦がどこに向かっているか気付いたらしい。

そして、海軍本部からの回線が繋がった。

どうやらこの艦が乗っ取られた事は知っているらしい。
そして主犯がルフィと何故かバギー。
バギーがロジャーの見習いクルーだった事がバレ、シャンクスと 何 故 か兄弟分として知らされ、


{その艦には“ジンベエ”“クロコダイル”“イワンコフ”を始め 曲者200人以上の脱獄囚が乗船している事も確認済み……!!!
そして………、あの“客天の名無”様が手を貸している事も分かっている!!!}


私の名前が出た。何故か様付けで。


{たとえ、名無様が力を貸しておられようと、こちらが「正義の門」を開かない限り「マリンフォード」到達はおろか───その“タライ海流”から抜け出す事すらできない!!
お前達全員には、名無様を除き、逃げる海も生きる道もない………!!!
以上だ…}

「おい!!待て海軍!!!」

{!}

「エースは必ず助け出す!!!お前ら芋洗って待ってろ!!!」

「「首」だよ麦わらさぁん!!!」

「芋洗って煮っ転がしてる場合じゃねェよ!!!」

「───で、なんでケンカ売ってんのこの人「海軍本部」にィ!!!」


ルフィ…芋洗ってどうするんだよ。

取り敢えず、バギーが馬鹿みたいに煽てられてる。

───あ、ヤバい。


「───待てよ!それよりも“客天の名無”って、「海軍本部」から様付けされてたぞォ!!!」

「何者なんだ一体!!!」


こっちに矛先が来やがった。




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