最期に世界よさようなら
一瞬だった。
―ドンッ―そんな凄まじい衝撃と身体中の骨が折れたような嫌な音と共に走る激痛、あまり痛みに声にならない悲鳴が口から迸る。激痛に満たされた思考の中、誰かの悲鳴が遠のいて聞こえた。
ソレと同時にゆっくりと全ての感覚が無くなってく…
(あぁ…死ぬんだ……)今までの人生は極普通だった。極当たり前にある生き方。家庭に問題があったわけでも無い。
何か、あったわけじゃない。
でも、自分は死を望んでた。上手く説明出来ないけれど、言うなればこの世界に飽きていた。
死を切望する程に、死を渇望する程に、死という逃げ場に魅せられていた。理由はちゃんとして無いけど仕方が無い。
しかし、こんな風になって死ぬとは…人生何があるか分からないものだ。って、いきなりシリアスだなぁ、私シリアス苦手なんだけど…はぁ。
(こんな状況で嬉しい…なんて、私は死んで逝く人に対しても、今私の心配をしている人に対しても失礼だな…)多分、多くの人というモノは自分のような状況になったりしたら、死にたくないと思うのだろう。
そして死を呪い。恨むのだろう。
いや、まぁ…知らないけどさ。
だって、死んだ人とか死にかけた人とか知り合いに居ねぇし。
でも、ま私はこんな痛くしなくても良いじゃないかとか文句こそあるが、特にそんな風に思わない。
逆に感謝している。
(ま、これが私であり、こんなんでも私でしか無いんだからな)そんな自分を何処か冷静に考えていると、終わり逝く意識の中で唐突に思い出した。
(そういや、まだ、連載完結させて無かったな…)せめて、ちゃんと完結させて置きたかった…
(まだ…やりたい事一応あったんだけどな…………)それを最期に全ての感覚が無くなった。
意識は闇に呑まれた。
その直前に一瞬、何か聞こえた。
──終わりは始まりだから、また何かが始まるんだろうね──・・・・―最期に世界よさようなら―
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