序章
今思えば、私は幸せだったんだろう。
最初の世界では、本当の意味での友人も恋人も居なかった代わりに、大切と言える家族が居た。共通の闇を抱えた、けれど自分には優しかった家族が。
別の世界でも、家族を失った代わりに、友人が出来た、親友が居た、大切な居場所が出来た。 そして、愛しい人が出来た。 義理だったけれど家族だっている事は居た。どれも、大切だと思えた。
私は恵まれていた。
どの世界でも、何かしら失ったけれど、その代わりに何かを得た。 失ったものも、得たものもとても大切だと思えた。
私は幸せだった。
世界の醜い部分を知っても、人の浅ましい欲望を知っても、どんなに愚かで低俗な所業を知っても、必ず大切だと思える人達が多く居た。
汚さを知っていた。でも、それ以上に価値を付ける事など出来ない美しく綺麗なものを知った。
ああ、私は幸せだったとも。共に生き、共に笑い、共に憤って、共に泣き、認め合える親友が、友人が、教え子が、新しい家族が、仲間が、愛しい人が居たのだから。
だから、これはただの年寄りの昔話。私は今も尚、色鮮やかに蘇るあの時間に起きた今となっては私達の成長の糧となった数々の事件を語ろう。
私と四人の親友達とで造り上げたホグワーツでの出来事を───・・・・…
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