2010/09/28 15:13 図書館戦争シリーズで有名な人。 取り敢えずあの方の作品「海の底」ネタ。 ───これは、どういう事だろうか? 今、一体なにが起こっている?───否、アレは何をしている? 目の前で、宙を飛ぶ巨大ザリガニ。自分達が苦戦し、食い止めることが精一杯、いや…食い止めることすら満足にできなかったもの。 ソレを、一蹴りで蹴散らし、素手の拳で殴るだけで破壊し、比喩では無く“ちぎっては投げる”動作を荒々しくも、無駄の無い動きで実行する赤い女性。 そして、まるでオーケストラの指揮でも執るかのように上へあげ、手と指をほんの少し動かしただけで細切れなバラバラの肉塊に成れ果てる巨大ザリガニをまるで興味なさげに欠伸を噛み殺したような眠たげな表情で、ただ見ながらその場を堂々と背筋を伸して歩くのは青年とも女性ともとれる中性的な顔立ちの人。 彼の人が通った場所は巨大ザリガニのバラバラ肉塊で出来た道となっていた。 自分達何百人が束で掛かっても敵わない奴等を、たった“2人”で瞬く間に片付けていく彼女達。 自分が彼女達の正体を知るのは上からの伝令、 ≪───直ちに、退却せよ≫ そのたった一言が始まりだった。 説明を求めれば、静かな声で告げられたのは、驚愕の事実。 ≪アレは、《人類最強の請負人》と《人類最惹の自由人》“裏世界”の住人、我々が依頼した…関わるな。退却せよ≫ 《人類最強》……それは、表の世界でも少しだけ知られる名。 特に、自衛隊の者達は“関わるな”と訓練中に教え込まれていた名。 そして、もう一つの名は《人類最惹》……人類全てを惹きつける全てに愛された《最愛》の名。 決して、“傷付けてはならない”と教え込まれていた人。 他にも“関わるな”と言われた者はいたが、特に念を押された2人の名だった。 あの時は分からなかった。何故、そんなにもキツく言い含められるのか───、そんな疑問がただの愚問に変わった。 “世界”が、違う。 あんなにも苦戦を強いられた相手を完全に格下として捕らえているとしか思えない微笑を携えて振り下ろされる手、目を奪われる華やかな強さ。 ───敵わない。 その後、退却してすぐに潜水艦に閉じ込められた人間と、他の人々の無事が告げられ、巨大なザリガニ達の無惨な屍だけが地を覆っていた。 ・ コメント |