禍ノ子
 専属医 / 大和


「佐々倉好き、すげー好き……」
「……っん」

 優しく呼び掛けながら、鎖骨にキスを落とす。浅く浮いた道を唇で辿りながら目指したのは、滑らかな脇の窪みだ。無防備な内側の皮膚を、柔らかくした舌で舐めてやると、緋色はくすぐったそうに身を捩った。

「やっ……ん、ふ……」

 慣れない行為に震える指が、シーツを手繰って襞を作る。
 きゅっと体を挟み込む内腿。揺れる細い足首の影。弱々しく髪をくしゃっと掴まれて、甘い疼きが全身に広がる。

「……、くろだ……あ……っん」

 快感を拾った艶めく吐息が、鼓膜を震わせた。

「声、我慢するなよ」
「ぁっ……、だ、……だって、んあっ」

 痛々しく尖った乳首を摘まむ。
 繊細な肉粒を親指と人差し指で擦り合わせれば、くびれた腰が悩ましげに捩れた。
 ますます力が入る内腿の奥で、くちゅっと卑猥な音が鳴る。
 可愛くて仕方ない。

「あぁっ……い、いたいっ」
「えっ」

 しかし唐突に上がった悲鳴に、引っ張っていた乳首を放す。

「ごめん、痛かったか?」
「ち、ちが…………こ、……こっち、が」
「……っ!」

 恥ずかしそうな涙目で訴えられて、鼻血を噴きそうになった。
 緋色の「痛い」は、自分の高ぶりを指している。
 両手に包まれた控えめな茎は、薄い皮から頭を出しきれず、中途半端に露を溢していた。

「佐々倉……、もしかして剥けにくい? ちゃんと自分で弄ってるか」
「あ、……あんまり……しない……」
「なんで、溜まって辛いだろ」
「……か、勝手に出るから」
「もしかして夢精の事? 下着が汚れて大変だろ」
「やっ、なんで……だめ、だめ……い……っやら、」

 腰を捕まえて、にゅるりと滑る茎を掴む。弟とずっと一緒だったから、まともに自慰もしてこなかったんだろう。指先で鈴口の形を確かめながら、張り詰めた薄皮をゆっくりと押し下げた。

「あっ……、あ、いたい……くろだ、ん……っやぁ、」
「少し我慢して、ああ……ほら、痛くないだろ」

 ぴりぴりと皮が剥けた先端は、ヤマモモのように赤い。外気に触れた粘膜から甘酸っぱい匂いまでしてきそうだ。

「舐めていいか」
「あ……そんな、っあ……」

 返事を待たずに、晒した割れ目に舌を這わす。弓のように背中がしなったが、構わず口に含んでねぶった。
 乳首もそうだが、緋色の敏感な場所はどこも素直な赤だ。これから暴く蕾の色まで想像して、大和の刀身が呼応するように体液を溢す。

「あっ、あ、んっ、ん……んぁっ」
「ちゅ……くちゅ、佐々倉、すげ……濡れて」
「いわな……れぇっ、ん、出ちゃ、でちゃう」

 幼気な脈動を、窄めた口内に包んでやる。
 閉じた鈴口に尖らせた舌先を沿わせ、そのまま「出せ」とばかりに強く吸い上げた。

「んあぁっ……! ん、あっアッ、あっ」

 跳ねる腹部を押さえつけながら、白い蜜を受け止める。ぴゅっぴゅっと喉に絡む熱が愛しくて、せり上がった双珠の膨らみまで舌を伸ばした。
 小振りな雄茎は、根本まで容易に可愛がる事ができる上に、鼻先で濡れた茂みを掻き分けて、いやらしい匂いを堪能する事すら可能だ。

「ああっ……溶けちゃう……っ」

 淫らな喘ぎを溢す緋色の口の端から、とろりと涎が垂れる。快感を逃がすように首を振る緋色に、大和は堪らずキスをした。


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