爽やかな初夏の日差し、練乳のたっぷりかかったかき氷、虫取り網と虫かご、それから大好きな恋人。
この場所には私の幸せがぎっしり詰まっている。

「はっちゃん、かき氷もうひとくち食べる?」
「おー、食べる食べる」
「はい、あーん」
「あーん」
「おいしい?」
「ん、うまい」

にっこり笑ったはっちゃんに私もにっこり笑い返して自分もかき氷をぱくりと食べる。
ひんやりしたかき氷が口の中いっぱいに広がって私は目を細めた。
うーん、きーんとする。
でもそのきーんとするのがかき氷の醍醐味だよなあと思いながら更にひとくち。
おほー、冷たい!

「はっちゃんはっちゃん、どう?舌べら赤くなった?」
「なってるなってる。俺は?」
「あはは、はっちゃんも真っ赤になってる!」
「お揃いだな!」
「えへへ、お揃いだね」

二人で笑い合ってどちらからともなくキスをする。
一度離れて、それからまたくっついて、離れて、舌を絡ませて。
何度も何度も、キスを繰り返す。

「ん、はっちゃん…」
「名前…」

至近距離で見つめ合って、こつんとおでことおでこをぶつけて。
そうしてまた微笑み合えばはっちゃんはすぐに真剣な顔を作った。

「だめ?」
「だーめ。結婚するまでだめ」
「…一回だけ」
「だーめ」

指でバツを作って言えば、はっちゃんはちぇ、と渋い顔。
それでもすぐに笑みを作って私をぎゅうっと抱きしめた。

「じゃあこれで我慢する」
「おっ、偉いぞはっちゃん!」
「だろ?ご褒美は?」
「何をご所望ですか?」
「もっかいちゅーしよう」

よろこんで、そう答えてはっちゃんにキスをして、えへへと笑い合う。
ああ私、はっちゃんのこと好きだなあ。
改めて考えてたらはっちゃんも同じ事を思ったらしい。

「やっぱ俺、お前が好きだわ」

そんな事を顔を赤くしながら言ってくれた。
私も思ってたよ、なんて恥ずかしいけどそう言えば、はっちゃんはでれっと顔を緩ませた。

「はっちゃんかわいい!」
「かわいいのは名前だろー?」
「えーはっちゃんの方がかわいいよ!」
「俺はかっこいいの!」
「うーん、確かにかっこよくもある」
「だろ?」
「だからはっちゃんはかっこかわいい!」
「なんだそりゃ」

呆れたような表情で笑って、はっちゃんはうーんと唸った。
さあ八左ヱ門くん、君は私をどう褒めてくれるのかな?
にやにやしながらはっちゃんを見れば、はっちゃんはあーもうかわいい!と叫んだあとまたぎゅうぎゅう抱きしめてきた。
ちょっと苦しい。

「笑った顔も、泣いた顔も、怒った顔も、企んでる顔も、全部ぜーんぶかわいい!」
「えー、企んでる顔もー?」
「当然!」

きっぱり言い切ったはっちゃんに笑いながら、幸せだなあと思う。
ずっとこうやってはっちゃんと二人で笑って、キスをして、のんびりしていられたら。
ああ、でもそこに私とはっちゃんの、かわいい子どもがいたらもっと幸せに違いない。

「ねえはっちゃん」
「ん?」
「結婚したらすぐに子ども作ろうね!」
「…うーん」
「はっちゃん?」
「…すぐはだめだ」
「なんで?」

はっちゃん子ども好きだし、賛成してくれると思ったのに。
不思議に思いながらはっちゃんを見つめればはっちゃんは難しい顔で言う。

「結婚しても、しばらくは名前を独占したい」
「…だめな旦那さまだね」
「…だめか?」
「ううん、うれしい。大好き!」

そう言ってまたはっちゃんにキスをすれば、はっちゃんは照れくさそうに笑った。

「早く結婚したいな」
「うん、早く結婚したいね」

抱きしめ合って、囁き合って、はっちゃんと私はまたどちらからともなくキスをした。


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