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ざっくり
今日は調理学習、料理はもともとあんまり得意じゃなくってぼんやり窓から見える男子がサッカーしている様子を見ながら「忍足くん相変わらず早いな・・・」なんて思っていたらお決まりに包丁の刃が方向転換して猫の手をしていた左手に刺さっていた、そりゃわたしがよそ見していたのが悪いのだけど自分でもびっくりして先生に言ってぽたぽた赤がしたたる手を片手でもってぱたぱた早歩きで保健室に向かって廊下を走った

「先生ー助けって、」

あまりにもパニックでひりひりする痛みにいつもなら挨拶して入る保健室もヘルプしか口が回らなかったわたしはガラリ急いで入った、けどそこで先生は今日講習とかなんとかでいなかったんじゃなかったっけなんて朝のHRで言っていたようなそんなことを思い出した、案の定先生はいない


「あ、苗字さん」
「し、白石くん?」
「うわっどうしたんその手!?」
「えっと、ちょっとね」


そのかわりにいたのはジャージを着込んだ隣のクラスの白石くんだった、わたしは最早真っ赤な手を押さえてなんともいえずぼうっと立ち尽くした、なぜか手当を早くしなくちゃと思うのにうまく動けなくなった


「はよ手当せな・・・」
「あ、」


だけどそんなわたしを白石くんは引っ張って丸椅子に座らせた、パタパタ慣れたように消毒液にガーゼを持って手をとり血を拭ってくれた、わたしはやっぱりそれを見てすごいなと関心するばかりでたっぷり消毒液が染み込んだガーゼを傷口に当てられるまでぼうっとした


「いつ・・っ」
「ちょお染みると思うんやけど我慢してな」
「てか、なんかごめんね、手当してもらって」
「こんなんなってるの見てほっとけへんにきまっとるやろ?」


パチリとにっこり笑った白石くんと目があって何だかふいうちを食らった気分になる、流石学校1の無駄のないイケメンさんだ、やけに整った顔は隣のクラスだから騒がれてるのはよくみるけど噂通り優しいんだなあ、これは女の子もほっとかないよ!なんて素直に思う、隣のクラスのそんなに面識もないわたしになんかにも授業時間を削って手当てをしてくれる、わたしなら出来ない・・・って


「白石くん授業は!?」
「あー今体育なんやけど包帯取り返にきててん、ちょっと遅れても大丈夫や」
「あ、そうなんだ、だからジャージ」
「それよりもうこんな怪我しちゃ駄目やで?もし傷になったら、女の子なんやからな」
「・・・ハイ」


わたしよりずっと白石くんのが女の子らしいと思ったが口にはださなかった、わたしよりも綺麗だし第一傷がのこるとか考えた事も無かったし、すると出血がとまった傷口を白石くんの細い指がゆるやかに撫でる、その指は勿論綺麗だったけれどどこかしっかりとした女のわたしとは違う作りになんだかドキッとする
そのままガーゼをひいてくるくる包帯をまかれた、大袈裟じゃないかなんて思ったけど傷が大きいから絆創膏だけじゃ処理できないから口出しはしなかった
そしてまきおわったら何やら包帯をまいたわたしの手をみて思い出したように彼も左腕をあげた


「お揃いやんなあ」


白石くんは左腕に包帯を巻いている、そしてわたしも、しょうもないことなのににこにこ笑う白石くんに釣られて笑った




「あーっあそこにも毒手な奴がおるー!」
「はあ?んな白石みたいな奴おるわけ・・・おったわ」
「あ、苗字さんやん」
「白石くんに忍足くんに、え・・・と」
「わい遠山金太郎いうん!よろしゅー!」
「よろしくね!」
「なんで苗字左手に包帯まいとるん?まさかほんまに毒手・・・っ」
「まさか!これは」
「俺とのお揃いなんや」
「は?」
「へ?」
「ほ!ほんまに毒手なんかー!」
「え、ちがっ」
「羨ましいやろ謙也」
「おまえらどないやねん!」

(0324)
結局何がしたいのかわからなくなってしまった
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