人魚姫 | ナノ

王子様への元へ行ける足を手に入れた人魚姫だったが声を失った人魚姫は王子を救った出来事を話す事が出来ず、王子は人魚姫は命の恩人であることに気づかなかった



あのまま人魚姫さんをほっとく事なんて出来ず昨晩はわたしの家に泊まってもらった
彼女は涙をぽたりぽたりと流し泣いていた、自分は愚かだと、わたしはそうは思わなかっただって絶対王子様だって人魚姫を探しているはずだと核心していたからだ



「あーどこだろう・・・」



昨日の海辺まできてぼんやりと下を見た、昨日人魚姫さんはお父さんに誕生日プレゼントに貰った指輪をどうやら落としてしまったらしい、多分海辺といった足を痛める彼女に行かせる訳なくわたしが捜す事に、今日は仕事もなかったからよかった、さんさん輝く太陽の下スカートを捲り上げて足元ばかりみる
瞬間キラリと光るものが確かに目に映って砂から脱出するようにそれを取り除いた、光るそれはシンプルなダイヤの宝石がついたリング
これだ・・・!案外早く見付かって、早く人魚姫さんのところへ持って行こうと思って駆け出した、のにがしりと脈を後ろから捕まれてビクリと反応をする


「見付けたで・・・っ!」


後ろから声がして振り向けばミルクティー色の美しい男の人が息を切らしながら色っぽくもわたしを見つめていた、身につけていたものは全部見るだけでわかるくらいに上物、こんな知り合いわたしにはいないはずなのに


「誰、ですか・・・?」
「あれ、俺の事わからん?」
「ええ」


こんなひどく綺麗な人人魚姫さん以外に見たことがない、吸い込まれるように見れば彼はにこりと笑った、なぜだか人魚姫さんを思い出してしまう
そんなことを海辺でしていたらびゅんと風をきる音がきこえて髪が靡くと同時にいつの間にか彼の隣に金髪がみえた


「白石、行きなり走るからびっくりしたわ」
「スマンスマン謙也、それより見付けたんや」
「え!ほんま!この子なん!」
「ああ、俺の恩人」
「へ」
「この指輪が証明やからなあ」


きらり、さっき見付かったわたしの掌に埋まった指輪を彼は指差した
そしてほお!と手をぽんとたたく金髪の彼はまたもにこりと笑うのだった
あっけにとられてそのままずんずんと手を引っ張られてしまい驚いて何も言えないままに馬車へ入れられた
そうして馬の足音がきこえなくなって馬車からやっぱり手を引かれて降りたらそれは大層なお屋敷、王宮を目の前にしてずらりと並んだ使用人の方々が頭を下げていた

そんな中を平然と歩きわたしの腕を握る彼が噂の白石王子で、そして王子は人魚姫をわたしと勘違いしていることにやっとわたしは気付く



勘違いをする王子様に人魚姫なわたし

いきなりすぎて何とも唇は反応しなかった



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テーマ「人外ファンタジー」
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