シュガーワールド | ナノ

最近なまえがおかしい
まあなまえがおかしいなんて今に始まった事ではないけど最近は特に変なのだ
授業をよくサボるしいきなり呪いの様な紙を向けたり雑誌を持ち込んだり、僕の上靴を履きたいなんて言う、そして一番引っ掛かるのは僕が彼女に声をかける度によそよそしいのだ
避けられている訳ではなくどちらかと言えば引っ付かれている方が正しいと思う
やはり好きな子と会う事が多いのは嬉しいけれど今までと違うなまえの行動がどうしても気がかりて仕方がなかった
草壁に調べさせようか・・・いや、頼み辛いのこの上ないだろう
はあ、と息をついてふと窓の外を覗いた、真向かいの教室には窓側の席に座ってノートとにらめっこしている彼女の姿
いつもと変わらない、はずだが少しだけそわそわしている様に見えるのは気のせいだろうか


「委員長、失礼申し上げますがそろそろ見回りの時間でございます」
「・・・ああ、僕は行ってくるから草壁これ宜しくね」
「了解致しました!」


イスにかけていた学ランを肩にかけ草壁に見送られ応接室から出れば丁度放課後前のチャイムがなった
ぱたぱたと何処の教室からも生徒が出入りする光景をぼうっとしたまま素通りをすれば廊下に二・三人固まった女子の群れがきゃあきゃあ大声で喋っていた


「ねーねー知ってる?好きな人の上履きを履いて3歩あるくと恋がかなうんだってー!」
「えーどうせおまじないでしょ、いい加減現実みなさいよ!」
「そ、そんなことないよ!この雑誌に書いてあったし!」


聞き流していた会話に何処かで聞いた違和感を覚えていれば雑誌と言う単語
廊下を進む足をそのままにその女子の手元へと目を動かした
それはこの間なまえから没収した雑誌と全く同じもの、それに上履きに、3歩あるく・・・?
やはり引っ掛かりがあり中々頭をうまく回せない
そうしている内に向かっていた玄関へとついて靴箱を開ければ


「・・・ワオ」


手紙がぽつり、と靴の上に乗っかっていた
その図は前にも一度、波の様にふるぐらいにみた物と同じでその時に何かの悪戯かと思ってトンファーを振り回してからは全くなくなったのだがまたか
後々なまえにそれはラブレターだよ!なんて言われたけれどどうせお世辞だろう、それになまえ以外の人物に貰ったとしても嬉しくはない
だが、一通しかなくもしも果たし状だったら戦える、赤ん坊からかもしれないしと淡い期待を持って白い封筒をぺりっと開けて中に入ってる紙を手に取った

雲雀 恭弥くんへ

こんにちは!あ、こんばんはかな?・・・どっちかわからないし、とーとつだけどわたしは恭弥くんが好きです!だ、大好きです!いきなりでごめんね!
と言う訳で?おはなしがあります、今日の放課後、五時くらいに応接室にいてください、あ!窓付近ね!じゃないと駄目だよー
では、まとまらないけど絶対に帰っちゃ駄目だよ!



ぜんぶ白のレースの可愛らしい便箋とはあまり合わない緑色のペンで記すられていた
これは多分なまえの言っていたラブレターと言う物だろう、だが差出人が何処にも書いていない
でも二つに意図は絞りついた、僕を名前呼びする奴はこの学校て一人しかいないからだ
あの子か、もしくは悪戯
此処まできて疑うのもアレだが意中の相手にラブレターを貰えた、なんて夢みたいで其れに僕みたいな奴だったら尚更だ
時刻は三時を回ったところ、ショータイムまでにはあと二回回らなきゃいけないみたいだ



グリーンの魔法に惑わされた世界


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