お見合い | ナノ


運転席に浅く腰かけてハンドルをゆるく回す、もうあったかいというのに生ぬるい温度をあげたのはこの車の首謀者、助手席には座らず後部座席に足を組んでシートベルトにも捕われない雲雀恭弥です、捕まりますよ坊っちゃん!と言いたいのが本音ですが言えないのが人間なんです
やけに高級そうな車はいつもロマーリオさんが運転してボスをお迎えにいくようなそんな黒張りのシンプルな作り、後ろに雲雀恭弥を乗せてるせいかやけにアクセルを踏みなおす度に緊張感をうったえる鼓動がうるさくなる
信号が目に良くない黄色から赤にうつりかわりふとじわじわ汗をかく腕をYシャツから解放するようにスーツを捲る、顔を上げたらサイドミラーと目がぶつかりその先に見えたものにわたしは目を見開いた
でも何かを言う前に信号はタイミング悪く変わってしまい慌てて足に力を込めた、BGMは音楽でもラジオでもなく、すうすう規則正しい寝息だった







「ひ、ばりさま!」


なんだか様付ってむずがゆい、と思いつつ後部座席のドアをあけて枕もないのに座ったまま寝る雲雀恭弥を前にわたしはしゃがむ、寿司屋には付いてしまったのに連れてきた本人は熟睡、運転疲れをかねてか重たい溜め息が唇から溢れ落ちた

「はあー・・・」
「・・・ん、ぅ」


うめき声がきこえてわたしは再度雲雀恭弥に視線をよせた、が少しだけ眉間に皺をよせただけで覚醒はしてないみたい、なんだかほっとしたような早く起きてほしいような
その途端にさらり車の中に入り込んだ風が雲雀恭弥の短な前髪を揺らした


「・・・あ、」


瞬間、彼はすこしむずかゆい顔をしてその後に、少しだけ口をぽかんとあけた
その仕草がなんだかこの間みた友達の赤子とおんなじで、まるで赤ちゃんみたいと口に出しかけわたしはそれをひっこめて唇を抑えた
可愛いところもあるんですね、なんて



メロウベイビーそろそろ起きて






(0708)
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