お見合い | ナノ
引き笑いも引いて真顔と言いがたい顔はきっとはたから見れば変人だろうか、そんな考える脳味噌はなく口角がひくひくする、雲雀恭弥は椅子の前に不自然に立つわたしをまた不審にドアの前からじとり視線を伝う
じりじり後退りなんてする余裕もないわたしには痛い火の粉しか飛んではこなかった
「・・・ああ」
「ひいっ、」
「君、跳馬の部下?何かみたことある様な顔だけど」
「あ・・・はい、そうです」
てっきり噂にきく咬み殺す発言をして追い出されるか救急車に運ばれるか、はたまた此処で命はおしまい何てぐるぐる考えていたのに雲雀恭弥は無表情でへえなんて口に出しただけで、ぱちぱち目が見開きを数回して水を補給する、意外に気長・・・?ぱったりそんな案が出たが揉み消す、有り得ないだってあの雲雀恭弥だ
「迎えなら綱吉の執務室にいるけど、呼ぶかい?」
「いや、寧ろ呼んで欲しくないというか・・・」
「何言ってるの君」
「此には深い訳がありまして・・・」
其処まで言ってわたしは視線を床に落とした、が、次の目に入ったのはぎらり、優雅に光る鉄の塊だった、喉奥に指を突っ込まれるみたいに息がつまってしまう、耳元にある雲雀恭弥の顔がまともに見られないのはきっと次こそが終わりだとしっていたから、少女漫画みたいなドキドキとは違いもっと現実的な心臓の音がやけに響く
「もしかして幻覚・・・刺客かい?」
「ちっちが、」
「おーい恭弥ー」
全力で否定しなければ絶対に、絶対にわたしはここで一生を終えてしまう!と思ってからからに乾いたリップグロスがのっかった唇を動かしたと言うのにさも間抜けな声にわたしはまた息をきる、やばいボスってばしつこすぎる・・・と言うよりも恭弥って呼んだ?あれ、わたしを探してるんじゃ、ふいにトンファーを当てられることをショートしたように忘れたが直ぐに生々しい靴音と雲雀恭弥の吐息が髪をゆらした瞬間に目が覚めた
口をあけしめしてから兎に角、兎に角とわたしは押し付けられた凶器を無視して雲雀恭弥の腕をひっ掴む、そのまま便利なまだ真新しい収納家具の中にがたがた音をたててヒールをはいたまま滑り込んだ
「・・・あれ?恭弥ー?トイレか・・・いや、あいつなまえと同じで逃げたんじゃ・・・!?」
「やっぱ一枚上手だったなあボス」
「ロマーリオ、恭弥を探すぞ!」
息が詰まる、指先は泣く子も黙る雲雀恭弥の唇辺りを押さえてるというのにそんな事は気にならなかった、ガタンとやけに古びたドアが閉まる音がして篭った空気を外に逃がした
はあ、ずっと止めていた呼吸を再開させた、やっと安置のカーペットがみえた筈なのにわたしが見ていたのは雲雀恭弥の 靴 隠れたクローゼットは別に熱かった訳じゃないのにだらだら、冷や汗がおでこと前髪の間に顔をみせた
「君、なんなの・・・」
「ごめんなさいすいませんごめんなさいいいい」
雲雀恭弥の顔は泣く子も黙ると言うよりも逃げ出す様な顔でした
追い詰められターゲットその二人
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