お見合い | ナノ
ドタドタ走るなんて事許されない立派な赤絨毯にいつものロングブーツを走らせ書類を何枚も重ねたのを運ぶ獄寺さんにがやがや怒鳴られるのも気にせず一番奥の大きなドアを音をたてて開けそのままスカートだと言うことも気にせず見えた首に飛び付いた
「綱吉さんっ!!」
「う、わ、なまえちゃん?」
「綱吉さん一緒に旅行行きませんか、日本とかわたし行きたくて!」
「いや、あのなまえちゃんお見合い・・・」
ばっと赤いネイルを塗った指先で綱吉さんの唇にばってんを作った、禁句とばかりに瞬きをせず一心にオレンジの瞳を見れば彼はゆっくり頷ずく
今見付かったらまたボスに強制連行されてしまうに決まってる、そしたら私がひそひそ逃げた事が無駄になってしまうのだガードマンに鉄拳を喰らわせた事も水の泡なんて、結構勇気振り絞ったんだから
「・・・お前十代目に迷惑かけんなよ」
「すいません・・・っでもわたしだってボンゴレの御屋敷にきたくて来た訳じゃないんです」
「まあまあ俺はなまえちゃんが来てくれて嬉しいし!」
「綱吉さん・・・!」
どうせならお見合いするなら綱吉さんみたいな優しい人が良かったなあ、あってもいないけどボスの話から相当乱暴な方だろうし私ってばついてない、なんて後ろから綱吉さんに書類を渡しにきた獄寺さんを前に溜め息を吐いた、そんなわたしを見て獄寺さんと言えば一瞬罰の悪そうな顔をしてわたしと同じように溜め息を吐いてからわたしの頭のてっぺんに手をのせてくしゃくしゃにかきまわす
「まあ、分からなくもねえよお前の気持も、俺も昔婚約者だなんだって言われたからな」
「獄寺さん・・・!」
「跳ね馬にはうまくいっといてやる」
「有り難うございますっ」「だから、どっか隠れて、ろっ」
「ひ、ぎゃ!」
どんっ、綱吉さんの部屋には二つの出入口がありいわゆる通行口みたいな幹部の方の私室に繋がる方のドアに私はいきなり獄寺さんに背中を押されドアに衝突してから向こうの廊下へと尻餅をついた、そうしたら綱吉さんがひょっこり顔を出してごめんねと口パクで口を開く、何がなんだかわからなくって冷たい赤い絨毯に手をひっつかせたままぼうっとしたら謎はすぐにとけた
綱吉さんの執務室から聞こえるボスの声、早くもかぎつけられたんだ、だから獄寺さんはわたしをいきなり押したのか・・・!これは不味いこんなとこでぼけっとしていたら見付かってしまう、そう考えたわたしは兎に角廊下の一番奥の部屋のドアノブを引いてその部屋に隠れた、流石にボスも部屋までは探しに来ないだろう
一安心ついて殺風景な部屋の椅子に腰かける、やけに温度が低く身震いをした途端に今はききたくないドアノブが回る音がきこえた
「・・・君、誰?」
「あ、・・・ははは」
ネームプレートをよく読むべきでした、そうここは、かの有名なボンゴレの最強最悪雲雀恭弥氏の執務室だったのです
打ち逃したピリオド
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