お見合い | ナノ


「おかえり、なまえちゃん雲雀さん」


そういってわざわざ玄関まで迎えてくれたのはわがマフィア界の支配者ドン・ボンゴレ、もう結構遅い時間なのに綱吉さんはまだスーツのままだった、ロマーリオさんの連絡を受けて待っていてくれたとしたら申し訳ないことしたなあ、と小さくお世辞をした


「話はきいたよ、何だか大事になっちゃったみたいだね」
「はい・・・迷惑をかけてごめんなさい」
「いや、いいんだよ寧ろみんな久々にゆっくりなまえちゃんと話せるって喜んでるし、獄寺くんも山本もクロームも、俺もね」


少し照れたように口元に手を添えて綱吉さんはわらった、その仕草がどうもかわいくって優しくて、わたしもつられて口元をゆるめる
いつも迎えてくれる玄関とはちがう、なのにどうも安心感をおぼえた此処はまるで自分の帰る場所みたい


「雲雀さんの部屋の向かいが空いてるはずだからそこ、使ってね」
「あ、はい・・・!」
「着替えとか必要だよね、クロームにいっておくから」
「・・・」
「あとはー・・・ってなまえちゃん?」
「綱吉、さん」
「ど、どうしたの?」


すう、鼻をつけぬけたにおいはこのお屋敷特有の香水、特に鼻につくにおいではないのに無償にわたしを安心させる、無音に口を開いてからぼんやりした視界に一度瞼を閉じた


「今夜は枕投げしましょうね!」


本当は申し訳なくていっぱいだったけど今わたしがいれる所はここしかない、それなら明るく振る舞うのが吉な訳で、ぱちり、綱吉さんは一度目を見開いてからまた笑った


「それは楽しみだね」


早く仕事終えなくちゃなあ、そう言ったところでふわりとした優しい空気は終わりを告げるよりザックリした重い銃口の音に私達はピクリと反応する、綱吉さんの顔はだんだん青ざめて色素をなくした


「わかってんなら早く終わらせろバカツナ」
「・・・リボーン」
「俺から逃げ出せるなんて思うなよ」
「はいはい、わかったよ」


また後でね、なまえちゃんってちょっとだけ低いツナさんの声が廊下に響いてリボーンさんと一緒に長い廊下に消えていく、こんなやりとりも最初みたときは恐ろしくてたまらなかったのに今では全然笑えてしまうから可笑しい、くるりツナさん達が歩を進めた反対へと向き帰れば雲雀さまがわたしをみている、一度目があったあとに少しだけ外された瞳をおって、わたしは歩きだした


「言っておくけど夜2時以降にうるさくして僕の安眠を妨げたら咬み殺すからね」
「・・・了解、しました」



真顔って笑えない



口を紡ぐワンナイト




(0915)
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