お見合い | ナノ


窓の外は絵の具でいくら塗り潰してもこんな色にはならないだろうそんな黒一色で、わたしはうつらと顎をゆらゆらさせていた、結構な時間がたった今わたしは車の中で、行きとは全く違うハンドルを握ることのない手は行き場をなくしたように其処らに放り投げていた


「ねえ、」
「・・・ん、」
「・・・」
「っむが!」


意識が半分どこかへいってしまっていてわたしは頬をむぎゅうとつねられるまでは雲雀恭弥の存在に気付かなかった、頬がのびーんとのびたままわたしは目を見開く、視線は前の乗車席にむいていたがのろり球体を動かせば少しだけ面倒くさそうな顔した鬼をみつけ一旦ふつむく、こわいです


「ほら、君の屋敷についたよ」
「、う、あ・・・ありがとうございま」


ピリリリ、例に習い今度は雲雀恭弥が運転をしてわたしを運んでくれたお礼を言おうとしたら携帯がいきなり歌をうたいはじめてわたしはびくつく、すいません、頭を下げてからポケットに手をつっこんで携帯をとりだした、ゆらゆら暗闇にネオンが光る


「もしも、」
「なまえー!!!」
「み、耳が痛いですボス・・・っ」
「お前何処にいるんだ、俺探しまくって、」
「ご、ごめんなさい」
「だからなあ・・・、ってうわロマーリ「もしもし、俺だ」
「ロマーリオさん」
「ボスはカンカンだ、悪いことは言わねぇ、今帰ってきたら軟禁行だ」
「えええ、!」
「だから今日はボンゴレのとこに泊まってこい、十代目には話をつけといた」
「・・・ろ、ロマーリオさんっもう結婚してください!好き!」
「はいはい、考えてやるよ、じゃあボスがうるさいんでな」
「はあ、い」


ピッ、耳から離して電源ボタンを押してからはたと気付く、雲雀恭弥は少しだけ目を細めてちょっと嫌そうに口を開く


「無駄足踏んだみたいだね」
「ご、めんなさい」
「別に」


そう言って雲雀さんは運転席に戻って長い足をアクセルに触れさせ再度体温がまだのこったままのハンドルを握った
わたしはその姿を見て分かってくれたんだ、ってちょっと安心して胸を撫で下ろす


「あの人、煩いからね、まあ同情してあげるよ」
「え、あの人って」
「それより、君さ」
「、なんですか?」


雲雀さんがわたしにまともそうな質問なんて珍しい、半日一緒にいてそう感じたわたしは自分の反射的に出た疑問より優先させた、シートベルトをのばし斜め前にハンドルをゆるく動かす雲雀さんの顔を伺う


「オジコン?」
「・・・ご、誤解です!!!」



訓、雲雀恭弥に冗談は通じない




耳鳴りネオンを星屑に




オジコン=おじさんコンプレックス




(0808)
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