足音に反応したら運が悪いのか当たり前にだるそうにしている財前くんがいた、きっと部長に怒られた後で部室に着替えに行くんだと思う、でもそんなことうまく頭を働かせられる訳もなく、ピリリリ、わたしの持っている携帯じゃない違う携帯が音をたてた、ハッと我にかえって差ほど距離がないのにも関わらず財前くんに向かってわたしは走った、ぶわっと暑くもないのに汗が吹き出る、でも一足早く携帯に反応した財前くんは携帯をパチリと開いていた、手をあげて阻止するように財前くんの携帯目掛ける


「ざっ財前くん!!」
「ん?」
「だめ、それみないで消し、っ」


身長差が元々あるから財前くんを阻むことなんて出来る訳ないのにわたしは必死で、そんなわたしを見てSなのか無意識なのか財前くんはすこしわらってから携帯を高いところを上げて画面をみた、そうしたら少し笑っていたはずの口元は緩んで少しだけぽかんと口をあけた、当たり前だと思った見ず知らずのただのクラスメイトにいきなりメアドも教えてないはずなのにメールがきてつきあってくださいなんて、ああもう、終わった、そう思ったら泣きそうになってふつむいて目をぎゅうっとつむった、視界が真っ暗になる、まるでわたしの頭みたいに
なのに、なのにやっぱり現実をみるしかない、何にもいってこない財前くんを不審に思って恐る恐る少しだけ目を開けて財前くんをのぞきみれば、パチリ目があった


「・・・ええよ」


それだけ口を開いて財前くんはわたしから目を逸らした、わたしといえば半分しか開いていなかった目をかっ開いて口をぱくぱく金魚みたいに開け閉めをした


「え、な、にが」
「メールの返事」
「・・・うそ!?」
「嘘やったんほうがええの?」
「い、やだ!」


がむしゃらに答えだけをいえばふんわり、財前くんはさっきよりも色を濃くして笑った、はじめてちゃんとみた笑顔にドキドキしないはずがなくて、それに色々たくさん頭に片付けられない程にあって、へにゃへにゃ骨がとけたみたいにわたしは渡り廊下に座り込んだ
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