「あー・・・腰いたい」


がっくんと言う極楽地に浸っていればこの様だ、いや後悔はしてませんけど!ね!とか言ってみる、いややっぱちょっと後悔してる
ひらひら風に舞ったプリントは見事外へと散っていた、先生に言おうかと思ったがそんなことばれたら「たるんどる!」とか某副部長風にひっぱたかれちゃいそうで怖いので自力でなんとかすることにした、足りないのは足りないので適当にコピーすればなんとかなるし、幸い風はすっかり止んでいるからまだそんな遠くは言っていないと思うし落ちたのは見事異常に広いテニスコート方面だったのでがっくんとおまけに忍足くんも手伝ってくれてる、プラスお上品なお嬢様達も気になってか散らばったのが目についたらちゃんと拾ってくれて、初めて氷帝で良かったと思った瞬間だ、お嬢様だからこそちゃんと拾ってくれる訳で普通は見てみぬフリをかますだろうわたしならそうする!
でもまあやっぱり人通りがすくない所は当たり前にわたしがやらなきゃいけない訳で、しゃがんだり立ったりしゃがんだり立ったりでかなり腰が痛い、今、婆かときかれたら全力で頷く、だって痛いもん労ってほしい
はあ、また腰を抑えてあるきだす、高いローファーをカツカツ土草に落として二回目の溜息を出そうとしたところだった、ぐにゃり、嫌な予感がする


「な、なんか踏ん・・・ってうわっ!」


下を見れば水色のジャージが目に入って反射的に声をあげてしまう、でもわたしの足がクリーンヒットした当の本人はうーんと目をすりつつ寝返りをうってそこで顔が見えてわたしは、あ、と声を漏らした
それはどちらかと言えば安置の方の、良い意味で安心をした、とにかくしゃがんで踏んでしまった少し汚くなっている所を摩る


「おーいなまえ!テニスコートのやつは全部集めたぜ!ってジローじゃん」
「なんや部室にいないと思ったらこないなとこにいたん」


声がしてふいに顔をあげればぴょんぴょん跳ねながら前進してきてその後ろから保護者みたいに忍足くんが歩いてきた、わたしは小さく苦笑しながら二人を見つつ気持ち良さそうに寝るジローちゃんの声に傾けた


「足元見てなかったらジローちゃん踏んじゃって」
「大丈夫だぜいっつも俺も踏んでるけど気づかねぇもん」
「うん、わたしもこれが二回目だからわかるんだけど、このままほっぽく訳にもいかないし!」
「そうやなあ俺が、」


忍足がそこまで言ったときテニスコートの方から怒鳴るような声が聴こえた、澄んだ声は全校で知らない者はいないだろう人物で二人はビクリとした顔をしてから顔を見合わせ苦笑に近い笑いをした


「跡部がお怒りのようやな・・・」
「二人とも早く行った方がいいよ!」
「でもジローは・・・」
「わたしが運ぶから」
「女の子一人で男はきついんちゃう?」
「大丈夫、てかこのままじゃわたしまで跡部に怒られるから本音さっさと行ってほしい」


そう言ったら二人はケラケラ笑い出して手を振りほなな、ジロー任せたぜ!ってそれぞれ言ってテニスコートへと走りながら戻っていった
残されたわたしといえば寝ながら前髪が邪魔そうなジローちゃんを見て制服のポケットに入っていた赤いピン止めで前髪を上にあげてパチンととめてあげた
それにこしょばしそうに笑いながらかわいい彼をわたしは背負うのだった



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縛るというかとめる?笑
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