ど さ り
一瞬きこえた音がこんなにもゆっくりにきこえたのは初めてだった、背中が決して寝るためにある訳じゃないベンチについて、でも後首に回された腕のおかげで衝撃はなくてそこら辺はあくまで紳士だなあなんて余裕めいたことを考えてそこでハッと気付いたわたしは羞恥がびりびり痺れたみたいに顔に上がってくるのがわかる、慌ててリップを塗ったばかりの唇を動かした

「しっしし白石!?なん!?」
「ん?世間一般ではこれを押し倒すと言うで」
「そんなのわかるっちゅーねん!なんで、お、押し倒しとるかや!」
「なまえが可愛いからや」


白石はわたしの上に乗っかって顔をずいっと近付けていつもは髪で隠れている耳に食らい付くように囁いた、吐息は包抜けでバイブルとかなんとかよりも色っぽくて仕方がなかった、こんな顔立ちが良い男に押し倒されて可愛いなんて言われてなにも思わない女は絶対にいないだろう、わたしはさらに真っ赤になってのぼせたようにぼやぼや視界が鈍くなる
でも、なんでだ?確かに密室で二人きりなんて少女漫画では王道のシュチレーションだけど部室だし、わたしはただのマネージャーで白石はただ、のじゃないけど部長であり浮いた関係では無いのだ、それにこんなことわたしなんかにしなくたって白石は女に餓えてないだろう、あれこの間隣のクラスの学校一可愛いなんとかちゃんとかに告られてたし、断ったって聞いたけど


「ぷ、プレイボーイ白石!とりあえず正気になってど、けて!」
「どけるのはいややわー」
「とにかく本当冗談はよし、むぐっ」
「ちょーっと黙っといてな」

私の声を遮って白石はわたしの口を掌で塞いだ、そしたら足に白石の足が絡んでくるのがわかって息を飲み込んでぎゅうっと目をつぶった白石がきているジャージの裾を反射的に握る
そうしたらガタンっ当てつけの悪い部室のドアが音をたてて白石は「お」と声を漏らす、わたしはそれに反応して涙が落ちることをきにせずそちらに視線を寄せた、ギィと外の光が部室に燈す


「白石何先いっと・・・え、あ、え」
「謙・・・也?」
「おっ、おおお邪魔しましたー!!!」 ガタバタン派手な音をたてて真っ赤になりながらわたわたした謙也はドアを閉めた、それと同時に白石はわたしからのけてお腹を抱えて笑い出した、・・・そういうことか
珍しいと思ったんだ同じクラスで謙也と白石はいっつも一緒に部活にくるのに今日は違うから、わたしを押し倒したのもヘタレ謙也をからかうためで、なんかドキドキしていたのは呆気なく冷めた、でもまあ可愛い謙也が拝めたので許してやろう白石!なんて気楽に考えていたら白石はまだ笑いながらベンチから立ち上がってドアへと向かう、わたしもそれにつられて立ち上がって歩きながらスカートをぽんぽんと掃った


「あーおもろかったー」
「性格悪いな白石・・・」
「でも、なまえドキドキしてたやろ?」


わたしがドアノブに手を引っ掛けたと同時に、白石は口元に手を一本添えいじわるく笑った、やっぱり色っぽかった、が、わたしをからかう対象のもとでしかなく何だか遊ばれた気分にしかならなかったしわたしの純情をとられた気分で羞恥でいっぱいで、そのままドアをガツンと思いっきり引いて勿論わたしのとなりにいた白石はドアにごっつんこして壁とドアに挟まれた


「だから財前今は駄目や!おとりこみちゅーって話や!」
「だから意味わかんないッスわ・・・あ、ちわっスなまえ先輩」
「え!?なまえ!?」
「さっ部室入り、二人とも」
「・・・で、でも」
「大丈夫や謙也敵はわたしが成敗したで」
「は?」
「てかなにしてはるんすか部長」



財前が汚わらしい物を見る目線の先には部室のすみっこで鼻を抑える聖書がいたとかなんとか


犯行反抗は計画的に



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テーマ「人外ファンタジー」
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