「ブンちゃんブンちゃん、幸せってどんな味?」


ポロリ、意味の分からない夢見がちな言葉に俺は食べかけのケーキを思わず落としそうになった、それを支えて再度目の前で憂鬱そうな顔するなまえを見れば目があって、むうとなんとも複雑そうな表情をされる、視線の先には素手で食べてるからベットリ生クリームがしたたる俺の手とあまいにおいがするケーキだ


「なんだよぃ、いきなり」
「だってあんまりにもブンちゃん美味しそうに食べるから、うらやましいと思っただけです!」
「・・・やらねーよ?」
「だからブン太は丸いんだよ!」
「幸村くーんなまえがマネージャーの仕事サボってまーす」
「あああごめんなさい丸井さまあああ」


只今俺は家庭科室で補給中、部活をさぼってついてきたなまえは慌てて手を振ったり身振りしながらわたわたする、窓目掛けて言ったけどテニスコートは反対だし聞こえてないだろう、まあ幸村くんだから分からないけど
大声でいうのをやめて口にケーキのあまいスポンジを放り投げればやっぱり不機嫌そうな顔が睨みをきかせる、ひしひしとした視線はズサズサ刺さる


「てかブンちゃんだってサボりじゃん」
「俺は体力がないから今補給中なんですー」
「・・・」
「・・・」
「・・・ケーキ」
「・・・」
「・・・」
「・・・ほら、一口だけだかんな」
「やったっ!」


手をそのままなまえに向けて差し出したらそれに喜んでかぶりつこうとした、その瞬間ふとさっきなまえが言った言葉を思い出した「幸せってどんな味?」どんな味なんだろうな、確かにケーキうめえけど別に幸せ!って感じる程じゃねえし、てか幸せってなんだよ?とか人生に迷ったことをそう考えた時歯を動かしてるだろうもぐもぐ動く頬にその度揺れる生クリームがほのかについた唇が目に入って、なぜだか分からないがそれにみはいる自分がいて、我慢出来なくなってケーキなんか無視をして、その唇に喰らいつく様に俺の唇を押し当てた
数秒したら生クリームの味がして、唇に残るスポンジと一緒になまえを舐めたら砂糖みたいに甘いのが伝う


「・・・あっま」
「・・・う、ん」


さっきとはうってかわってなまえは真っ赤な顔を隠すようにふつむいてこくりと言葉にあわせて頷いた、俺はそんななまえを見て口角をあげる、照れてるコイツが可愛いのなんのって!
だから間に挟んだ家庭科室の机なんて気にせず手を伸ばしてなまえをぎゅっと抱きしめる「うわ!」女らしくもない声も指摘する気にならなくて、ふわふわさらさらな髪を手に絡めたらもう俺は完璧に満足で息をついて、やっとこの気持ちが何か知る
だからもう一度唇に浅いキスを降らしてから放った


「俺の幸せはこんな味」


言ってみてなんだか気恥ずかしくなったから照れ隠しに笑ってみたらなまえは少しだけはにかんで一緒に笑ってくれた


「天才的な味だったろぃ?」
「とりあえず・・・甘かった、かな」
「それはお前があめーからじゃん」
「え、ブンちゃんが甘いからでしょ」


二人で言い合わせて二人して笑う、ケーキが甘かったという選択肢はどちらにもない、それは俺らが互いしかみえてない主張だった



アスパルテームの世界




「好きだぜぃ」「好きだよっ」


(1122)
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -