ノートの表紙には何度擦っても消えない赤色が染み付いていた、かわいらしい花をモチーフとした柄が繊細な赤で台無しだ、息をついて中にゆるりと指を忍ばせ弾く、そこにはひたすらに羅列した文字がある



8月3日
少し体が疲れてきた気がする、でもこのくらい何でもない!
だってボスや獄寺さんや山本さん、あと働き者の雲雀さん比べれば全然だから
でもなんで疲れたの一言もいわないんだろうって少し不思議だ、でも多分それはわたしが弱いだけなんだろう
もっと強くなりたい、だって雲雀さんは弱いやつは嫌いだから


8月4日
今日も仕事だった!雲雀さんは鬼だ!悪魔だ!もうもう少しで死ぬかと思ったぐらい修練が辛かった、外もあつくってしょうがなかったし、何と無くおもしろくない気持の一日だった


8月5日
今日はお休みで、ロンドンから帰ってきた綱吉さんと会えた、久々にあったボスはやっぱりわたしの知らないうちに大人びていて、屋敷もいつもよりにぎやかになっていた、あ、特に獄寺さん!山本さんも楽しそうだったしいつも無表情な髑髏ちゃんも笑っていた、でも一番びっくりしたのは雲雀さんもちゃんと近くにいて綱吉さんをみて少しだけ口角をあげていたこと
明日はミルフィオーレとの対抗任務だ、はじめてのSSランク、頑張ろう!



日記は其所で途切れている、当たり前だ今日は8月6日だからだ、常に持ち歩いているノートを寝そべるわたしの腕をもちあげ目の前をあげた


「・・・結構やられてるね」
「勿論です、すっごく痛いんですよ」
「へえ」


血がたくさんついた雲雀さんのスーツは私にはよく見えない、勿論それは雲雀さんの顔もみえなくて、足を折り曲げて屈んでくれてやっと見えた、雲雀さんはやっぱりいつもの無表情だった


「わたし、雲雀さんにききたいことがあったんです」
「なに?」
「・・・これ、」
「・・・ん?」


まだ真新しい、昨日かいたページを開いて雲雀さんの手に押し付ける、そうしたら数秒後にはすっごく顔を歪ませた雲雀さんが見えた、なにこれ、彼の頭の中が読めてしまう


「なに、これ」
「わたしの、日記です」
「なにこの妄想、僕笑ってなんかないし鬼でも悪魔でもないよ」
「・・・まあわたしビジョンです」
「で?質問は」
「、雲雀さんって、ホモですか、?」
「・・・」
「、っいだ!」


思いきり雲雀さんにぶたれる、口からいたいなんて言葉をはきだしたけどでもそんな感情も只反射で別に痛いなんてわかんなかった、でもちょっとした安心感に浸るわたしは涙腺を緩めた
でもみられたくない


「雲雀さんの・・・嘘つき、」
「咬み殺すよ」
「・・・こ、わい」
「・・・なまえ?」
「雲雀さん、・・・わたし、人を殺しちゃいまし、た」
「・・・そりゃ、ね」
「知ってたんです、Sランクじゃ見逃せる程のものじゃない、って」
「、うん」
「相手はミルフィオーレで、わたしの大切な人を、殺したけど、でもわたしも、同じことをし、た」
「・・・」
「わたしも・・・犯罪者、だ・・・っ」


確に新しく買ったはずのスーツの裾で鉄の臭いがするのも構わず目尻を拭う、今まで見逃してもらった殺しをわたしはした、いつかに習った戦争の歴史とわたしは同じ掌をみに受けた、あの時なんで人をあやめるなんてと思っていたくせにわたしも同じなんだ、そう思うと自分自身を裏切った気分でどうしても呼吸するのも辛かった


「・・・ひ、・・・っく」
「ねえ、」
「ん・・・」
「僕はノーマル、だよ」


そう言って、雲雀さんはわたしの隠れていないおでこに生暖かいなにかをあてた、次には胸におしつけられた四角いわたしの365日、あとにはきこえないようにと舌が耳に苦い感覚を与えた(きいちゃ駄目)



嘘吐きはいらない




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